2023年(令和5年) 3月9日(木)付紙面より
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酒田市のANAあきんど庄内支店(前田誠支店長)と東北日本ハム(落合貴浩社長)は、酒田産の米粉を素材に共同開発したスイーツ「ホワイトカヌレSAKATA Ma・ange・Ke(サカタ・マンジュ・ケ)」の販売を始めた。
米粉スイーツはANAのクラウドファンディングで集まった支援金52万7000円を活用した。食物アレルギーに対応した商品を製造している東北日本ハムの女性社員と、ANAの客室乗務員として庄内に移住し地域のPR活動をしている庄内ブルーアンバサダーがタッグを組み、昨年4月からスイーツ作りを進めてきた。
「サカタ・マンジュ・ケ」は酒田産「はえぬき」の米粉で仕上げたもちもちとした食感のカヌレ(フランスの伝統的な洋菓子)に、純米大吟醸の酒粕とサツマイモあんの風味を引き出した。食物アレルギーの人でも安心して食べられるよう小麦の中に含まれる「グルテン」をなくしたグルテンフリーに仕上げた。
鶴岡市錦町のエスモールで4、5の両日に行われた「春のパンフェスティバル」に合わせて東北日本ハムの菅原桃さん(25)とブルーアンバサダーの九鬼江実さん(26)が参加し、買い物客に新作スイーツ200セットを販売した。
商品開発を担当した菅原さんは「女性の視点で作ったスイーツ。『天使』のように真っ白なカヌレにすることが難しかった。酒田の新しいお土産品になることを願いたい」、九鬼さんは「庄内愛がたくさん詰まったスイーツ。一度食べてみてという庄内の方言の“まんずけっちゃ”を組み合わせて商品名を考えた。東北日本ハムさんと作った新しいスイーツが多くの人に親しまれるよう広くPRしていきたい」と笑顔を見せた。
「サカタ・マンジュ・ケ」は2個入りで400円(税込み)。現在はANAのオンラインショップ「WonderFLY」で取り扱っている。この後、庄内の道の駅やスーパーなどへも販路を広げる。
2023年(令和5年) 3月9日(木)付紙面より
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鶴岡市の鶴岡工業高等専門学校に設置されている研究拠点・高専応用科学研究センター(K―ARC)を核に、同校で取り組む研究などの情報を地域へ発信する「K―ARCシンポジウム2022」が7日、同校で開かれた。基調講演や同校教員による研究事例紹介が行われ、地元企業関係者などが最先端の研究技術や社会情勢などを学んだ。
K―ARCは全国や北海道・東北ブロック高専の研究拠点構築と研究力向上を目的として2015年に設置。シンポジウムは同年から開かれており、8回目の今回は「人が集まる場所で活躍している技術」をテーマとした。
地元や県外の企業、行政、内陸の経済団体、同校学生など合わせて30人余りが参加。初めに慶應義塾大環境情報学部の田中浩也教授による基調講演がオンラインで行われた。田中教授は「3Dプリンタと資源循環」と題し、全国各地から回収した25トン分の使用済み洗剤ボトルを活用して、東京五輪2020の表彰台100基を3Dプリンタで製作した世界初のプロジェクトを解説した。
さらに地域で使用されなくなったプラスチック用品を集め、町なかで使うベンチや遊具へ生まれ変わらせた経緯などを紹介し、「プラスチックを回収し、砕いて3Dプリンタで新たなモノに姿を変える。再び町なかで使われ、古くなったら再び回収する。こうした新たなアップサイクルが今の世の中には必要だ」と述べた。
続いて招待講演が行われ、同校出身で石井製作所(酒田市)社長の石井智久さんが「最大の笑顔を求めてきた事業の展開」の演題で講演。20代半ばで社長に就任し、離職率や生産効率の改善に取り組み3年後には黒字化に成功したが、幹部社員との軋轢(あつれき)に苦しんだ経緯を話し、「自分と社員の願望が違っていることに気付いた。外部コントロールとして人を動かそうとするのではなく、行動が変わってくれるような良質な情報を渡すことが大事。社内でも社外でも協力者をつくり、協力者の成功こそが事業の成功となる」と語った。
このほか鶴岡高専の教員が観光や農業、地中熱エネルギーなど各分野における研究事例を紹介した。
2023年(令和5年) 3月9日(木)付紙面より
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荘内銀行本店営業部の取引先企業でつくる荘友会(会長・五十嵐久廣鶴岡建設社長)の総会と講演会が6日、鶴岡市の東京第一ホテル鶴岡で開かれ、慶應義塾大先端生命科学研究所発バイオベンチャー「サリバテック」(鶴岡市)の砂村眞琴CEOが唾液で6種類のがんのリスクを検査する同社の事業と自己管理によるヘルスケアの重要性について講演した。
医師でもある砂村氏は「人生100年時代のヘルスケア―唾液による癌(がん)のスクリーニング検査」のテーマで講演した。同社は唾液中の代謝物質を測定・解析することで肺、(膵)、胃、大腸、乳、口腔の6種類のがんリスクを検査できるキットの「サリバチェッカー」を開発。現在は全国約1700カ所の医療機関で検査などが受けられると紹介した。
サリバチェッカーによる唾液の採取は自宅や職場など場所を選ばずにでき、砂村氏は「がんは早期発見が重要。簡便にセルフケアができる検査キットを提供することで、体に負担が少なく早期に仕事に復帰できる治療につなげることができる。医療費の抑制にもつながる」と説明。「鶴岡が全国から『どうしてがんの死亡者数がこんなに少ないの』と言われるように地元に貢献していきたい」と述べた。
総会・講演会は4年ぶりに開催し、会員企業の代表者ら約160人が出席した。
2023年(令和5年) 3月9日(木)付紙面より
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酒田市を中心に活動する市民楽団・酒田フィルハーモニー管弦楽団(矢島恭一代表)の「第44回ファミリーコンサート『ファンタジーな春』」(市教育委員会、荘内日報社など後援)が5日、庄内町の響ホールで開かれ、聴衆を魅了した。
同楽団は1967年に創立。春のファミリーコンサート、秋の定期演奏会を中心に活動しているほか、これまでにロシア、ハンガリーで計6回、海外公演を実施。小・中学校を巡回する音楽教室なども行い、庄内地域の音楽文化向上の一翼を担っている。
コロナ禍の影響で2021年以来2年ぶりの開催となったこの日は家族連れを中心に多くの人が会場に詰め掛けて満席。ラベルが友人の子どものために作曲したといわれる「組曲『マ・メール・ロワ』」や聞きなじみのあるディズニー映画「美女と野獣」などを披露し、聴衆は管弦楽の美しい旋律に聴き入った。
後半の「あなたも指揮者コーナー」では、抽選で選ばれた子どもたち3人がチャイコフスキー「眠りの森の美女」の指揮を体験。子どもたちは緊張しながらも壇上で堂々とタクトを振り、温かい拍手に包まれた。
2023年(令和5年) 3月9日(木)付紙面より
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修学旅行で今春、沖縄県を訪問する遊佐町の遊佐中学校(佐藤英喜校長)の2年生90人は昨年来、事前学習として太平洋戦争末期の「沖縄戦」について知識を深めている。これまでの学びを生かし7日、自ら脚本などを手掛けた創作劇「命(ぬち)どぅ宝―沖縄戦の裏側」を同校体育館で上演、1年生や保護者らにあらためて戦争の悲惨さ、命の大切さを訴えた。
現2年生は進級早々の4月19日(水)から2泊3日の日程で沖縄県を訪問、見聞を広める。これに先立ち昨年12月以降、特に日本で唯一の地上戦となり、住民をはじめ多くの犠牲者を出した沖縄戦について学習。これまでの学びで得た知識を生かし、平和の尊さを広く伝えたいと今回の劇を上演することにした。
役者はもとより、監督はじめ大小道具の制作、衣装、音響、照明など全て生徒が担当。実行委員長の佐藤璃空さん(14)と監督の菅原ももかさん(14)、助監督の藤田蓮生さん(14)の3人で練った脚本は、沖縄戦を経験した主人公・げんじの脳裏に78年前の記憶がよみがえり、10歳になった孫にその悲惨さを語り掛けるもの。本土防衛のため「捨て石」とされた沖縄に点在した「ガマ」と呼ばれる洞窟で繰り広げられる、げんじと、「幸子」という少女、家族、日本兵とのエピソードを臨場感たっぷりに描き、「命どぅ宝=命こそ宝」というメッセージを訴えている。
この日は1年生、保護者のほか、町広報にチラシを折り込んだこともあり地域住民も訪れ、幕が上がると、近づく米国兵の足音、銃声のリアルさもあいまって演じる生徒たちに見入っていた。劇中歌として、いずれも沖縄戦を題材にした森山良子さん「さとうきび畑」、ザ・ブーム「島唄」を使用、コーラス担当の生徒たちが斉唱した。
上演後、げんじ役の高橋正弥さん(14)は「劇を通して戦争の悲惨さを学ぶことができた。沖縄は初めての訪問。見学を通して得た学びを広く知ってもらう活動をしたい」、幸子役の石垣海音さん(14)も「沖縄では、ガマをはじめ今なお残る戦争の傷跡をしっかりと見てきたい」とそれぞれ話した。