2023年(令和5年) 4月12日(水)付紙面より
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バレーボール2022―23Vリーグ女子2部(V2女子)で優勝し、入れ替え戦で連勝、悲願のV1昇格を果たした酒田市を拠点とする「プレステージ・インターナショナルアランマーレ」は10日、同市京田四丁目のプレステージ・インターナショナル山形BPOパークで報告記者会見を行い、選手とスタッフが勝利の喜びを語った。
アランマーレは創部8年目、V3相当から出発し、シーズンを追うごとにリーグ内での順位を上げ、今期はレギュラーラウンドで首位に。先月26日のファイナルステージで群馬銀行グリーンウイングスに勝利し優勝。今月8、9の両日に行われた入れ替え戦「チャレンジマッチ」でV1最下位のヴィクトリーナ姫路に連勝し、念願だったV1昇格を決めた。
会見には、西尾博樹ゼネラルマネージャーと北原勉監督、所属全選手が参加。北原監督は「8年目でついに最高峰の舞台に立つことができた。自分や選手の力だけではここまでこれなかった。スタッフや応援し続けてくれたファンに支えられてきたことに心から感謝したい」と喜びを語った。
木村友里主将は「姫路は個人能力が優れた選手が多かった。8日は高さを生かした攻撃に苦しめられたが、9日は展開を調整しながら対応することができた」と。最後のサーブを決めた伊藤摩耶選手は「監督からの指示と自分の考えが一緒だったので、プレッシャーの中でも自信を持ってサーブを打つことができた。25点目を取った時、ベンチの選手たちがコートの中に来てくれ、初めて『勝ったんだ』というほっとした気持ちになった」と勝利の瞬間の気持ちを話した。
拍手と歓声 快挙を祝う
アランマーレの監督・スタッフ、選手たちは同日夕、酒田市役所を訪問し、丸山至市長、高橋千代夫市議会議長らにV2優勝、V1昇格を報告した。
市は2つの快挙を祝う懸垂幕を庁舎前に掲示したほか、職員と共に、窓口を訪れた市民らがお出迎え。大きな拍手と歓声に包まれる中、選手たちは手を振りながら歩を進めた。
丸山市長、高橋議長のほか、鈴木和仁教育長、池田博夫副議長が出席。西尾GMの経過報告に続き、北原監督が「選手も頑張ったが、これまでサポートしてくれた人たちの勝利以外、何物でもない。歓迎を受け、ようやくV1昇格の実感が湧いてきた。これからも一緒に戦っていきたい」とあいさつ。木村主将は「『最後は笑って終わろう』と試合に臨んだ。これからも県民、特に子どもたちに感動と勇気を与えたい」と述べた上で、「V1に昇格したらアランマーレ専用体育館を造っていただけるとうかがっている。期待している」と続けた。
これを受け、入れ替え戦2試合を現地で観戦した丸山市長は「創部からの8年は市長在任とかぶり、市長冥利(みょうり)に尽きる。V1で活躍し続けてほしい。体育館や移動用バスなどチーム環境を整えたい。市を挙げてサポートする体制を構築したい」、高橋議長は「議会として応援することを約束している。ずっと応援していく」と述べた。
選手・スタッフが一人ずつあいさつに立ち、このうち前田和哉コーチ(鶴岡市出身、櫛引中―羽黒高―仙台大)は「アランマーレらしい全員バレーが昇格という形で表れた。『全員』には市民も含まれている。全員バレーをより強固にしたい」と述べた。
2023年(令和5年) 4月12日(水)付紙面より
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“桜の回廊”美しく 東北エプソン 一般公開
東北エプソン(酒田市十里塚、則松力社長)の敷地内の桜(ソメイヨシノ)が見頃を迎え10日、好天の下で市民らが花見などを楽しんだ。
同社敷地内では、1987年の工場操業と同時に桜を植樹。南側の施設間道路約500.メートル区間の左右に約50本ずつ計約100本が植えられ、開花時には美しい桜並木が楽しめる。
同社では2015年に創立30周年を記念して観桜会を企画。同年から毎年一般にも公開している。今年は先月31日に咲き始め、今月7日に見頃を迎えた。
この日は晴天となり、午前10時の開場から多くの市民らが同社を訪れた。満開となった桜の下で子どもたちがシートを敷いて花見をしたり、市民らが“桜の回廊”を散策して写真を撮るなど思い思いに楽しんでいた。
同社では「地域貢献の一つとして、一般公開は今後も続けていきたい」と話している。公開時間は午前10時―午後3時。14日まで。問い合わせなどは同社総務グループ=電0234(31)3131=へ。
鯉のぼりも爽やかに 中山河川公園
遊佐町直世(すぐせ)の中山河川公園でソメイヨシノが見頃の終盤を迎えた。風が吹くと花びらが桜吹雪となって舞い、その中を鯉のぼりが気持ち良さそうに泳いでいる。
同公園のソメイヨシノは約60本。上皇さまご夫妻の成婚記念として1959年、洗沢川の堤防に植えられた。その後、地元住民らが丹精込めて育成。残雪を頂く鳥海山をバックに咲き誇る光景は、同町随一の桜の名所になっている。近年は、川の両岸に渡したロープに多くの鯉のぼりがつるされ、さらに魅力が増した。
遊佐鳥海観光協会によると、今季は例年より1週間以上も早い今月10日に満開を迎えた。暖かな陽気になった11日は県外ナンバーの車も訪れ、桜並木と尾根筋の雪が解け始めた鳥海山、川面を泳ぐ鯉のぼりという絶景を楽しんでいた。
2023年(令和5年) 4月12日(水)付紙面より
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国指定史跡の指定を受けた「旧東田川郡役所及び郡会議事堂」(鶴岡市藤島)の指定記念セレモニーが10日、東田川文化記念明治ホール(郡会議事堂2階)で行われた。市や地元自治会など関係者がくす玉を割るなどし、史跡としての正式な指定を喜び合った。
セレモニーには皆川治市長や布川敦市教育長、藤島地区自治振興会の齋藤昭彦会長など16人が出席。初めに皆川市長が「内外から多くの人が集まる観光拠点となることを願うとともに、かけがえのない地域の伝統文化を後世に残したい」、東田川文化記念館の遠田良弘館長が「史跡を未来に残すため、地域住民や多くの市民から心のよりどころとして身近な施設になるよう取り組みたい」とそれぞれあいさつした。
関係者がくす玉を割って史跡指定を祝った後、藤島地区の民俗芸能「六所神社獅子舞」の祝舞が披露された。
東田川郡役所は1878(明治11)年、郡区町村編成法に基づき設置された。現在の郡役所は火災消失により87年に再建された2代目。中庭回廊式の木造平屋建てで、和風建築だが一部に洋風建築様式も取り入れられている。1926(大正15)年の郡制度廃止後は旧藤島町役場などとして84年まで利用された。
旧郡会議事堂は1903(明治36)年に再建された。洋風建築の木造2階建てで、2階の大広間が郡会に使用された。1996年に「東田川文化記念館」が設立された後は、旧郡役所が藤島地域の近代史を紹介する資料館・展示施設、旧郡会議事堂はホールや図書館分館として利用されている。
郡役所と郡会議事堂は昨年12月に国の文化審議会で国指定史跡にするよう答申され、今年3月20日の文部科学省による告示で正式に史跡として指定された。鶴岡市内では旧致道館、松ケ岡開墾場、小国城に続き4件目となった。
2023年(令和5年) 4月12日(水)付紙面より
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令和初の県議選が終わり、コロナ禍を経て今後4年間の県政を担う新議員が誕生した。庄内では無投票当選の1人を除き、残る10議席を13人で争った。一方、選挙が終わっても、有権者には議員活動をチェックする責務が残る。新議員も有権者の付託に応える公約実行のため、しっかり働いてもらわねばならない。
今度の選挙で、鶴岡市区で1人、酒田市・飽海郡区で2人の女性議員が議席を得た。ともすれば議会は“男性社会”などといわれる。子育てや介護など、これからの社会で避けて通れない問題を、男性にはない視点から政策を提起し、実現に努めてもらいたい。
◇ ◇
投票率の低下に歯止めがかからないのはなぜだろうか。鶴岡市区は2011年の58・99%以降、選挙のたびに下がって今回は52・29%。酒田市・飽海郡区も55・59%から50・54%と、50%を割り込む寸前まで低下した。「誰が当選しても同じ」などという政治への無関心だけでなく、選挙が「政策論争」より「政争論争」が表に出て、有権者が嫌気をさしたということはなかっただろうか。
県選管は「親子で投票に行きましょう」と投票の啓発に努めた。16年から選挙権年齢は18歳以上に拡大され、主権者教育の必要性も指摘されている。子どもと投票所に出掛け、投票の意義と会場の雰囲気を感じてもらうことも、今後にとって大事なことであろう。大型商業施設や大学などに期日前投票所が設けられた。言ってみれば“出前投票所”ともいえる。過疎化が進んで自力で投票所に行くことが難しい高齢者も増えている。そうした人を支援する可能性をできる限り探ってもらいたい。
庄内のこれからの課題は、少子化対策、若者定着、後継者不足に悩む農林漁業の担い手確保と振興策、景気と雇用対策など、難しい課題が山積している。どれも、新県議たちが有権者に訴えてきた政策だ。そればかりでなく、議員は自分で地域を回って人と会い、抱えているさまざまな問題点を探り出し、得た問題を議会で取り上げて県政に反映させなければならない。
◇ ◇
新県議は、選挙戦では議席を目指す争いを展開した。これからは新しいスタートラインに立ち、庄内から選出の11氏が「一致団結」し、一丸となって庄内の振興に力を合わせなければならない。それが庄内から選ばれた議員の責務であることを、各自が肝に銘じて日々の活動に当たってもらいたい。
これまで3年余、新型コロナウイルス感染症によって議員の活動も制約されるケースがあったが、その制約も少なくなる。地方議員のなり手不足が問題になっている折に、地域のために働きたいと議員になった新議員には、選挙戦で訴えた政策を振り返り、与えられた4年間の任期で自分が成すべき事を着実に果たしてもらいたい。
2023年(令和5年) 4月12日(水)付紙面より
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酒田調理師専門学校(御舩明彦校長)の入学式が10日、酒田市の同校講堂で行われ、高度調理技術、調理両科の新入学生計16人が資格取得に向けて新たなスタートを切った。
本年度、入学したのは1年課程の調理科53回生9人、2年課程の高度調理技術科21回生7人。式には在校生と教職員、父母、来賓約70人が出席した。一人一人の名前を読み上げ入学を許可。御舩校長は「庄内地域の食のおいしさは、生産者と共に、食材を調理しリーズナブルに提供する飲食に関わる全ての人の努力のたまもの。校歌に歌われるよう『心根と体』を鍛え、『学識と腕』を磨いてほしい。ここでの学びが将来、大きく花開くことを祈念する」と式辞を述べた。
来賓を代表して安川智之酒田市副市長が「酒田、庄内地域には全国に誇れるメニューが数多くある。食文化の歴史・ストーリーに興味を持ってもらい、表現に深みのある調理師を目指して」と丸山至市長の祝辞を代読。これを受け新入学生を代表し調理科の渋谷春樹さん(18)=酒田市、酒田光陵高出身=が「地域に貢献でき、食べた人を笑顔にする調理師を目指す。皆さんから頂いた温かい励ましの言葉をこれからの学びの力にしたい。感謝の気持ちを忘れず、大きく成長する」と誓った。
学生たちは和・洋・中華といった調理技術を磨くとともに、衛生管理、経営などに関しても知識を深める。
2023年(令和5年) 4月12日(水)付紙面より
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鶴岡市三瀬の気比神社(石塚記夫宮司)例祭が9日、地区内で行われた。コロナ禍で中止していた、若衆が重い神輿(みこし)を担いで調子を合わせ飛び跳ねるように駆ける「跳ね神輿」が4年ぶりに披露され、地元を活気づけた。
同神社は平安末期に越前の国敦賀の気比神社の分霊を祭って創建したと伝わる。食物と農耕の神として知られる保食大神(うけもちのおおかみ)を祭り、五穀豊穣(ほうじょう)祈願で4月初めに行われる例祭は庄内に春の訪れを告げる風物詩にもなっている。
例祭の神宿は三瀬第2地区祭典実行委員会(石塚敦委員長)が担った。午前9時ごろから神社本殿で神事を行った後、神輿を担ぐ白装束と烏帽子(えぼし)を身に着けた地区の若衆や裃(かみしも)姿の氏子らの行列が地区内を練り歩き、午後3時ごろ、同神社へと続く地区内の目抜き通りに到着。沿道に詰め掛けた見物客が見守る中、若衆10人が約300キロの神輿を担ぎながら駆ける勇壮で威勢の良い「跳ね神輿」を披露。見物客の「頑張れ」「まだまだもう一回」との声援に応えるように、約50メートルを「ハイ、ハイ、ハイ、ハイ」と調子を取りながら何度も駆け抜けた。
同実行委員会顧問の高橋敬七さん(74)は「コロナ禍でこの3年間はできずにいたが、今年はぜひやりたいという皆の思いで準備を進めた。住民の喜ぶ顔を見て、実施できて良かったとつくづく思う」と感慨深そうに話した。