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荘内日報ニュース


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2023年(令和5年) 4月15日(土)付紙面より

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カモンマーレ加茂に来てね 「渚の交番」愛称決まる

 NPO法人エコ・リンクやまがた(山形市、遠藤靖彦理事長)は12日、鶴岡市加茂地区に整備している海の総合交流拠点施設・渚の交番in鶴岡の愛称を「渚の交番カモンマーレ」に決定したと発表した。カモンに「加茂に来てね」の意味を持たせ、イタリア語で海辺を意味するマーレを加えた。カモンマーレは6月24日(土)のオープンを予定している。

6月24日オープンへ建設進む

 「渚の交番」は、海に関する多様な地域資源が交流する番所といった意味。豊かな海づくりの拠点を全国各地に設けている日本財団(東京、笹川陽平会長)のプロジェクトの一環で整備し、東北の日本海側では初の施設となる。

 加茂水産高と県水産研究所の間の海岸そばに建設が進むカモンマーレは、鉄骨造り3階建て、延べ床面積約550平方メートル。1階にファストフード販売や直売コーナー、ヨットや水上バイク、スタンドアップパドルボードなどマリンアクティビティの受け付け、観光案内などを設け、2階は庄内の海や里の食材を使ったイタリアンレストラン、3階は海洋教育のワークショップや料理教室などに活用するスペースとなる。運営は地元の地域づくり団体「一般社団法人大好きな加茂」の協力を得てエコ・リンクやまがたが担う。

 愛称は昨年12月から今年1月にかけて一般公募し、県内外から148点の応募があった。関係者で選考委員会を設け、2次にわたる審査で決定した。同法人の愛称募集事務局は「独創性、ご当地感、呼びやすさなどを考慮して選んだ」としている。カモンマーレの愛称は、鶴岡市の友好都市・東京都江戸川区在住者から寄せられたという。

 カモンマーレは6月24日に竣工(しゅんこう)式典を開催し、オープンする。1階は海水浴場に設置される「海の家」のイメージで誰でも気軽に立ち寄られるようにし、鶴岡市内のかまぼこ店の協力で庄内浜産のカナガシラなど低利用魚・未利用魚のすり身を活用したオリジナルかまぼこ、海鮮を使ったイタリア料理の揚げピザなどをテイクアウトで販売する計画。2階のレストランは、イタリアンシェフで料理プロデューサーの有馬邦明さん(東京)が監修する。

渚の交番カモンマーレのロゴマーク
渚の交番カモンマーレのロゴマーク

6月24日のオープンに向け施設の建設が進んでいる
6月24日のオープンに向け施設の建設が進んでいる


2023年(令和5年) 4月15日(土)付紙面より

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清楚な花訪問者魅了 鳥海ブルーライン近く ミズバショウ最盛期

 遊佐町吹浦の鳥海ブルーライン近くを流れる沢に自生するミズバショウが、開花の最盛期を迎えた。蛇行しながら静かに流れる沢に沿って1キロ余りにわたり群れ咲く清楚(せいそ)な花が、訪れた人を魅了している。

 ミズバショウはサトイモ科の多年草。小さな黄色い花の集まりを包む純白の仏炎苞(ぶつえんほう)と、優しい薄緑色の葉の対比が美しい。

 自生地は標高約250メートルの林間。同ラインを管理する県は花の時期に間に合うよう2018年から、本県側入り口の小野曽ゲートと3合目の駒止ゲート間6・4キロを2週間ほど早く開通させ、ミズバショウの花を観賞できるようにしている。今季は今月7日に部分開通した。地元・小野曽集落の住民らは、訪れる人々が安全に気持ちよく観賞できるよう毎年、沢の遊歩道などを清掃。今年は積雪が少ないため2日に実施し、約30人が参加した。

 元同集落長の武田克己さん(76)は13日にも作業。「みんなで清掃したころは花が少ない上に小さかった。今日来てみると数が多く、それも大きくなっていて驚いた。例年以上に見事な咲き具合だ」と話していた。

 鳥海ブルーラインは凍結などの恐れがあるため当面、午後5時から翌日午前8時まで夜間通行止めになる。

沢沿いに自生するミズバショウが開花の最盛期を迎えた=13日
沢沿いに自生するミズバショウが開花の最盛期を迎えた=13日


2023年(令和5年) 4月15日(土)付紙面より

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仏クルーズ船「ル・ソレアル」初寄港 酒田 北前航路をたどる旅 和太鼓演奏で出迎え

 フランス船籍のクルーズ船「ル・ソレアル」(1万992総トン、乗客定員264人)が13日、酒田市の酒田北港古湊埠頭(ふとう)に初めて寄港した。海外客中心の乗客はオプショナルツアーで出羽三山などに出向いたほか、市民を挙げて岸壁や街中でもてなした。

 フランスの船社・ポナン社が運航するル・ソレアルは、クルーザーをイメージした比較的小型の外航クルーズ船。客室は全てオーシャンビューで、多くがバルコニー付き。同社の企画クルーズ「Expedition to the Kitamae route=北前航路をたどる旅」で11日に北海道小樽を出発し、酒田は最初の寄港地となった。和太鼓演奏が響き渡る中、岸壁に降り立った乗客200人余はオプショナルツアーや市内観光を思い思いに楽しんだ。

 同船は同日夕、次の停泊地・新潟県佐渡に向けて出港。旅は22日(土)まで続き、富山、鳥取、釜山(韓国)、大阪などを巡る。

酒田港に初めて寄港したルソレアル=13日午前、古湊埠頭
酒田港に初めて寄港したルソレアル=13日午前、古湊埠頭


2023年(令和5年) 4月15日(土)付紙面より

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飛島の新「離島振興計画」策定へ

 酒田市の離島・飛島。1955年、初めて国の「離島振興法」の指定を受けて以来、産業振興や生活の不便解消策などの対策が講じられた。それから68年。漁港施設などの生産基盤は整備されたが、現在は人口減少で超高齢化が加速、島のコミュニティー維持さえ難しい環境に置かれている。それでも、「島で生きたい」と語る島民は多い。

 山形県は2023年から32年までの、10年間の新たな「山形県離島振興計画」を策定する。どうしたら島の産業と人々の暮らしを持続することができるか、できれば発展させる方策はないか―として、対策と名案についての意見を県民から公募している。本県唯一の離島・飛島の将来に、多くの意見を寄せてもらいたい。

     ◇       ◇

 20年の国勢調査で、飛島の人口は158人、高齢化率は77・2%。酒田市に合併した1950年の国勢調査時の人口は、現在の10倍以上の1618人(終戦前は1788人とも)だった。漁業が主産業であるのに、船着き場は自然の岩場の地形を利用し、海が荒れると住宅の軒先まで波が押し寄せた。そうした環境は、最初の離島振興法指定後、国の支援でずいぶん改善された。

 離島振興法の目的は▽交通・通信▽産業振興▽居住環境の整備―が柱。島への投資の8割が防波堤、漁港荷揚げ場整備などに充てられ、それに続いて一口アワビ栽培に挑戦し、岩ノリ付着場などの生産施設も整備された。1970年頃からの離島ブームで観光面での活気に沸いたものの長くは続かず、ブームが去ると島の過疎化が始まった。中学を卒業すると進学で島を離れ、戻ろうにも島に働く場がない。離島の宿命が人口減少を加速させた。

 県が新しく策定する離島振興計画は、幾つかの目標を掲げている。柱となるのは「安心・安全・安定・快適な島の環境」。観光や産業の展開で島の持続的発展を目指す。かつてのハード面の整備から、高速通信の光ファイバーなどによる情報通信技術を活用し、島での多様な働き方の環境を整備することで、移住者の受け入れを拡大させたい考えだ。

     ◇       ◇

 東北公益文科大学開学後、学生が頻繁に飛島を訪れて島民と交流、「若者に元気をもらった」と語る島民は大勢いた。漂着ごみ清掃では、全国先駆けになった。人が減る島から現状維持、さらには増加させる狙いが、新離島振興計画にはある。そうさせることができる素地と可能性は、飛島にはある。

 県は島民の考えだけではできない島の潜在力を引き出さなければならない。そのために、多くの県民から振興計画に向けた意見を公募している。ぜひ県庄内総合支庁総務企画部総務課まで、名案を寄せていただきたい。公募方法の問い合わせ先は同総務課=電0235(66)2111=へ。公募締め切りは5月1日。

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2023年(令和5年) 4月15日(土)付紙面より

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桜とチューリップ 同時に咲くなんて… 温暖化が背景「きれいだけど喜べない」 庄内の自然界でも花期早まる傾向続く

 鶴岡市千安京田のいこいの村森林公園でソメイヨシノとチューリップがほぼ同じ時期に咲いた。チューリップは以前、桜が散った後の大型連休前に見頃を迎えていたが、ともに花期が早まる傾向が続いている。植物について調べている専門家は「温暖化が背景として考えられるだけに『きれいだ』とは素直に喜べない。環境に敏感な植物が人間社会に警鐘を鳴らしている気がする」と話している。

 鶴岡市公園緑地係によると鶴岡公園の桜の開花(5年ごと)は2000年が4月16日、05年が18日、10年が13日、15年が6日、20年が3日。23年間の平均は10日で、2015年以降は4月10日より早く咲いた年が多い。今年の開花宣言は3月31日。公園北側の新たな基準木で観測を始めて以来、3月中に咲いたのは初となった。

 いこいの村森林公園では今月初めにソメイヨシノが咲き始め、その後間もなくしてチューリップが花びらを広げた。桜はほぼ散ったが、10日から12日にかけて満開となったソメイヨシノと赤や黄色といったチューリップが「競演」する光景が見られた。庄内チューリップ倶楽部の中村恵二事務局長(68)=鶴岡市大宝寺町=は「チューリップが咲いたのは8日。品種によって早咲きや遅咲きがあるが倶楽部が管理するようになってから桜と同じ時期に咲いたのは初めて」と話す。

 いこいの村森林公園に限ったことではない。ほかの広い地域で植物の開花が早まっていることを専門家が指摘する。

 環境省の希少動植物種保存推進委員で鶴岡自然調査会代表の水野重紀さん(83)=鶴岡市双葉町=の調査では鶴岡市の高館山に自生する「オクチョウジザクラ」が今年3月17日に開花しているのを確認した。

 水野さんは「例年より10日早い。特にここ数年、植物全般の開花が早くなっている。チョウの『ウラギンシジミ』は大山公園の枯れ草の中で成虫のまま越冬していることが確かめられた。『モンキアゲハ』も5月下旬に成虫となって見かけられるようになりサナギの状態で冬を越している可能性が高い。いずれも過去にはなかったこと」と現状を説明する。
 年々、開花が早まる自然界の植物。今後、鶴岡公園や酒田市の日和山公園の桜の開花宣言は3月下旬が「通例」となる時代が来るのかもしれない。

同じ時期に咲いたソメイヨシノとチューリップ=11日、いこいの村森林公園
同じ時期に咲いたソメイヨシノとチューリップ=11日、いこいの村森林公園



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