2023年(令和5年) 4月16日(日)付紙面より
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絹製品の企画・製造・販売を手掛ける鶴岡シルク(大和匡輔社長)は14日、鶴岡市羽黒町松ケ岡のシルクミライ館(松ケ岡開墾場4番蚕室)で新ブランド「MAKINU(マキヌ)」の販売開始を発表した。伸縮性の高い新素材「シルク2」を使い、3柄×2色のスカーフを製作。デザインは古くから伝わる「正倉院文様」をモチーフにした。大和社長は「構想から4年掛け、いろんな人と関わりようやく完成した。『鶴岡にはシルクがある』と誇れるような地域の産業、文化を子どもたちにつないでいきたい」と話した。
MAKINUは「真絹」の意味。松岡(本社・酒田市)と共同開発したシルク2を使い、羽前絹練(鶴岡市)による精練、東福産業(同)でのプリントと「メードイン鶴岡」による製品づくりに取り組んだ。鶴岡シルクのブランドとしては「kibiso」「侍絹(サムライシルク)」に続いて3番目。
従来のシルク製品はつやつやとした光沢があり、伸縮性はほとんどない。これに対し、MAKINUの製品は柔らかくふわっとした手触りが最大の特徴で、従来の品に比べ非常に軽い。「高い吸湿力」「紫外線吸収」など肌や体に優しいシルクの性質も持ち合わせている。
製作されたスカーフは「ROKUJU(鹿樹)」「RENJU(連珠)」「KACHOU(花鳥)」の3柄で、1柄につき「赤と青」や「赤と緑」といった2色が用意されている。奈良時代にシルクロードを経て日本にもたらされ、正倉院(奈良市)宝物殿に収められた織物や染物などにも使われた「正倉院文様」がデザインのモチーフ。花や鳥を曼荼羅(まんだら)風に構成したものや、連珠文を組み合わせシンプルながらも華やかさが感じられる。
また、スカーフの4辺は全て職人による手縫いで、ディティールにも細やかなこだわりを持ち「オンリーワン」の製品として1枚ずつ丁寧に仕上げている。
発表イベントには大和社長のほかMAKINUプロデューサーの廣澤康正さん(横浜市在住)、妻でスタイリストの廣澤美樹さん(同)、デザインを担当した中村幸絵さん(東京都在住)などが出席。大和社長が「日本はシルクロードの終着点とされるが、新ブランド誕生をもってロードの折り返し点としMAKINUを世界に発信していきたい」とあいさつした。
続いてANA客室乗務員で庄内ブルーアンバサダーとして活動している西紅映さん、鶴岡市在住でSNSを通じ庄内弁の普及や庄内への移住促進に取り組んでいる堀綾乃さん、フランス出身で鶴岡市在住のミヨサラさんの3人がMAKINUのスカーフを身に着けて登場。ジャケットの下でブラウスのように見せる着こなし、肩に羽織ってボレロ風のコーディネート、首もとにあしらったフォーマルな使い方などを披露した。
その後、トークセッションが行われ、出席者たちがプロジェクトへの思いやスカーフのおしゃれなコーディネートなどについて語り合った。
MAKINUのスカーフは1枚4万9500円(税込み)。シルクミライ館で販売するほか、鶴岡シルクのホームページでも購入できる。同社HPのアドレスはhttps://kibiso-tsuruoka.com/
2023年(令和5年) 4月16日(日)付紙面より
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外国クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」(約11万6000トン・英国船籍)が14日、4年ぶりに酒田港に寄港した。酒田市の中町モールでは同日、高校生らのボランティアスタッフが交流イベント「2023ドキドキおもてなしツアー」を展開。呈茶やまち歩きなどで外国人観光客を楽しませた。
交流イベントは、同市の官民を挙げたおもてなし推進組織「酒田交流おもてなし市民会議」(会長・丸山至市長)が、昨年10月、クルーズ船観光客をもてなすイベント案を考えるワークショップを開催。参加した高校生らのアイデアを基に、1―3月に4回の会議を重ね、中町モールで書道や着物・甲冑(かっちゅう)の着付け、呈茶などの体験コーナーと、相馬樓や山王くらぶなどを案内するまち歩きコースを組み合わせたイベントを企画した。
この日は酒田光陵、酒田西、酒田東、酒田南の生徒と東北公益文科大の学生らが参加。午前9時の開場とともに、ダイヤモンド・プリンセスの乗客を乗せたシャトルバスが次々と到着。体験コーナーや酒田のお土産などが並ぶ物販コーナーが大勢の観光客らでにぎわった。
このうち、呈茶コーナーは、酒田光陵、酒田西、酒田南の茶道部員らが担当。観光客を前に、緊張した面持ちで、お菓子の紹介や茶の飲み方などを英語で伝えた。米国カリフォルニア州サンフランシスコから夫婦で訪れたというマーリー・アーボレッダさん(72)は「とてもクールな飲み物。日本は3回目だが酒田は初めて。とても緑が多く美しい魅力的な都市。ドラムが好きなので太鼓で歓迎されてとてもうれしい」と笑顔で話していた。
接客した玉川拓弥さん(17)=酒田南3年=は「授業で習う英語と発音などが全然違うのでちゃんと伝わったか心配だが、喜んでもらえて良かった」と話していた。
2023年(令和5年) 4月16日(日)付紙面より
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呼び物「あぶり」4年ぶりに 楯山公園桜まつり 16日まで
新型コロナウイルス感染症の影響で2020年から中止となっていた庄内町の「楯山公園桜まつり」が15日、同町狩川の楯山公園で4年ぶりに開催され、観光客らが呼び物のニシンあぶりや豚あぶりなどを買い求めた。
町観光協会が桜の開花に合わせて開催している恒例のまつり。呼び物の「ニシンあぶり」は長い冬が終わった後に最上川を上って魚売りが運んでくる「春告魚」のニシンを高い山などに登って酒と一緒に味わう最上地方で盛んに行われている「かど焼き」と同様の風習とされている。
同公園は庄内平野を一望できるビュースポットとしても人気。世界かんがい施設遺産に登録された北楯大堰の開削などで知られる北館利長公の居城・狩川城跡地に、鶴岡市出身の星野勇三博士の設計で、大正天皇の即位を記念して1915年に公園が整備された。公園の周囲には桜(ソメイヨシノ)約200本が植えられている。
この日は朝から大勢の行楽客が訪れ、散りゆく桜を楽しんだ。午前11時ごろからニシンなどをあぶる香ばしい香りが会場に漂い始めると待ちかねたとばかりに列を作って次々と買い求めていた。会場の一角では庄内グラウンド・ゴルフ交流会も行われ、選手たちのナイスプレーに拍手が送られていた。桜まつりは16日も開催され、ガッサーモンのつかみ取りなどが行われる。
手仕事展やワークショップ 16日まで松ケ岡桜まつり
松ケ岡桜まつりが15日、鶴岡市羽黒町の松ケ岡開墾場周辺エリアで始まった。訪れた人は桜並木を歩きながらイベントを楽しんだ。
松ケ岡のきれいな桜を見て多くの人に楽しんでもらおうと、史跡松ケ岡開墾場管理運営協議会(堀誠会長)による実行委員会が毎年この時期に開いている。
今回は開墾場周辺の6施設でワークショップやろくろ体験、繭人形や盆栽、陶芸品といった手工芸品の販売などが行われた。このうち「くらふと松ケ岡こぅでらいね」では縦糸に木綿、横糸に古布団の切れ端を使う裂き織り体験や籐(とう)かご編みなどのワークショップを展開。「松岡窯陶芸教室」では米粉のピザ作りや湯飲みの絵付け体験をする親子連れでにぎわった。
屋外では地元高校生の手作りスコーン販売や松ケ岡の桃の花販売なども行われ、訪れた人は桜を眺めながら春の松ケ岡を満喫していた。家族で訪れた前田千恵さん(38)=羽黒町手向=は「桜並木の下を歩くのは気持ち良かった。子どもも絵付け体験などを楽しんでいたので来年も家族全員で来たい」と話した。
松ケ岡桜まつりは16日も行われる。
2023年(令和5年) 4月16日(日)付紙面より
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酒田市に江戸時代から伝わる土人形「鵜渡川原(うどがわら)人形」の保存・伝承に取り組む「鵜渡川原人形伝承の会」(高瀬靖会長)は、土人形や傘福のいわれなどをまとめた冊子「山形庄内の土人形&傘福(保存版)」を出版した。
鵜渡川原人形は江戸時代末期、旧鵜渡川原村(現在の酒田市亀ケ崎)で鋳物工場を営んでいた大石助右ヱ門が作り始めたとされる。地名から「鵜渡川原人形」と呼ばれ、庶民の暮らしに息づいた手作りの人形として親しまれている。
冊子はフルカラーで、鵜渡川原人形の歴史や種類のほか、江戸時代後期から鶴岡で作られ、現在は廃絶しているという「瓦人形」、酒田の広田地区で作られていたが、途絶えてしまった「広田人形」を紹介。また、女性たちが子授けの願いを込めて神社に奉納したという傘福のいわれを記した紙芝居「傘福の願い」を掲載し、より深く理解してもらうため、挿絵だけでなく実際の写真も添えた。
冊子は100部製作。A4判、48ページ。国立国会図書館、庄内の各図書館、県内の美術館、大学などに寄贈した。鵜渡川原人形職人で同会アドバイザーを務める本間光枝さんは「研究職などに正しい資料として活用してもらい、理解を深めてもらえれば」と話している。