2023年(令和5年) 4月6日(木)付紙面より
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任期満了に伴い統一地方選で行われている県議選(9日投開票)は終盤の戦いに入った。庄内地域で選挙戦となった鶴岡市区(定数5)は現新合わせて6人による1人超過、酒田市・飽海郡区(定数5)は現前新合わせて7人による2人超過の争いで、9日の投票に向け激しい攻防を繰り広げている。各陣営とも支持基盤固めの一方で、票の積み上げに懸命だ。両選挙区とも現職の勇退に伴い票の流動化が見られ、予断を許さない状況が続いている。投票率が50%台前半にとどまった前回選(2019年)と比べても、さらに有権者の関心は低く盛り上がりに欠ける。終盤にかけ有権者の多い市街地での働き掛けと票の掘り起こしが鍵になりそうだ。(文中敬称略)
鶴岡市区 現新とも地域越え混戦模様
鶴岡市区は現職3人、新人3人が5議席を争っている。選挙戦に入って、全市的な広がりが見えつつある自民新人の佐藤正胤、「唯一の女性候補」を前面に打ち出し浮動層への働き掛けを強める無所属現職の今野美奈子が当選圏入りをうかがう。無所属現職の高橋淳、ともに自民新人の石塚慶と菅原一浩、共産現職の関徹が支持拡大に懸命に動き、混戦のまま投票日になだれ込みそうだ。
現職組が不在となった自民は連立政権与党の公明の市議3人の後押しを受け、「3議席奪還」を狙う。新人3陣営はそれぞれの地盤を中心に旧町村部、市街地、沿岸・郊外部と一定の「すみ分け」で前哨戦を繰り広げたが、選挙戦に入ってからは各陣営とも地域を越えた運動が目立ち、情勢を複雑にしている。「自民3議席」に向け衆院議員の加藤鮎子、勇退する県議の志田英紀、前県議の佐藤聡が支援を強める。
連合山形推薦の無所属現職2人、共産現職には鶴岡市長の皆川治が支援に回る。共産は議席死守に懸命な戦い。ともに参院議員の舟山康江、芳賀道也が無所属現職の陣営のテコ入れに動き、連合系2人の議席確保を期す。
石塚は三瀬地区を地盤に市議2期を務め、選挙戦では温海地域を含む沿岸部を足場に西郷、京田、黄金などの農村部にも働き掛けを強める。40代の若さを強調し、若年層や無党派層への支持拡大で上積みを狙う。
佐藤は地元櫛引地域を地盤に羽黒、朝日の旧町村部で支持を広げる。父で元県議の故佐藤正光の後援会関係者や支援者のつながりで鶴岡、温海地域でも一定の支持を集め、幅広い保守層への働き掛けを強める。
3期目を目指す関は党の市議4人の支援を受け、全域で運動を展開し支持固めに動く。2日は党の衆院議員が来援した。前回の約8000票への上積みを期し、現政権の批判票や無党派層の掘り起こしを強める。
菅原は地元の第一学区をはじめとする市街地を地盤に市議3期を務め、議長も経験。つながりのある商工業や建設業、青年会議所時代の関係者の支援で攻勢に出る。大泉、上郷地区にも支持の広がりがある。
2期目を目指す今野は街頭演説中心の選挙戦を展開。当選2回の市議時代の支援者を足掛かりに、「女性の声を県政に届ける」と訴え、全域からの女性層の支持拡大を進め、前回の約9000票への上積みを図る。
2期目を目指す高橋は地元藤島をはじめ旧東田川郡内や農業者層を中心に支持固めに動き、一定の取り込みが進む。連合山形の労組の支援で市街地への働き掛けを強め、前回の約9500票への上積みを狙う。
現職3人に新人3人が挑む構図自体は前回と同じだが、有権者の関心は低調。各陣営からは前回投票率53・78%を下回るのではないかといった声も上がり、当選ラインは「9000票が目安だが、7000票台もあり得る」との見方も出ている。
鶴岡市区の3月30日現在の有権者数は10万3388人(男4万9349人、女5万4039人)。
酒田市飽海郡区 空白域や支持層票の奪い合い
酒田市・飽海郡区は現職3人と前職1人、新人3人の計7人が5議席を争っている。5議席を8人で争い、大激戦となった前回(2019年4月)同様、各候補が空白域や各地盤・支持層に入り乱れ、票の奪い合いの様相を呈している。勇退する自民現職の星川純一が地盤としていた同市川南地区、候補者がいない遊佐町の票の行方が注目される。
前回は、酒田市の市街地は自民現職の森田廣、川南は無所属前職の阿部ひとみと星川、北東部は自民現職・梶原宗明、旧3町は立民現職の石黒覚がそれぞれ強さを発揮した。今回は市街地に無所属新人の江口暢子と同・今井和彦、川南には同じく田中斉がそれぞれ立ち、各陣営とも「誰が落ちてもおかしくない」と緊張感を強める。前回に続き空白域となり、今年6月には任期満了に伴う町議選が控える遊佐町(3月30日現在の有権者1万1304人)では町議と連動した動きもみられ、各候補とも激しく食い込みを図っている。
川南地区を地盤とする田中は、参院議員の舟山康江と芳賀道也、市議時代の所属会派・志友会の支援を受ける。地盤を同じくする前職の動きを警戒しつつ、広く農業者、勇退議員の支持層に食い込みを図る。
選挙初挑戦の今井は、市中心部などでは街宣車を降りてランニングによる選挙活動も。まずは知名度アップに向けて選挙区全域で日中は街頭演説、夜は個人演説会を行い、幅広い層に支持を訴えている。
梶原は衆院議員の加藤鮎子や市議会最大会派・新政会などの支援で、地盤とする酒田市平田地域の農村部を中心に票を固める。土地改良区や建設関連企業などを通じ、遊佐町を含め他地区も積極的に攻める。
市議選では他を圧倒する票を得てきた江口は、自ら所属していた市議会労組系会派・市政研究会の支援を受ける。「女性の目線」を前面に打ち出し、地盤とする市中心部で女性層・若年層の取り込みを図る。
森田は衆院議員の加藤鮎子、市議会・新政会所属の酒田市議、遊佐町の保守系町議らの支援を受ける。6期の実績、与党との太いパイプなどを訴えて全域で上積みを図りながら、新人の食い込みをしのぐ。
幅広い支持を集めて前回トップ当選した阿部は地盤とする酒田市新堀、広野を中心に、「県政に女性の声を」と市内全域で確実に票を積み上げている。遊佐町でも前回同様、一定の支持を得ている。
立憲民主党県総支部連合会代表の石黒は、県知事の吉村美栄子との太いパイプを強調。「庄内の大地・未来を守り抜く」と掲げ、これまで同様、酒田市平田地域、遊佐町など旧飽海郡で強さを発揮する。
酒田市・飽海郡区の3月30日現在の有権者数は9万6160人(男4万5818人、女5万342人)。前回に比べて3500人近く減少した。投票率の見通しについて、各陣営は「激戦で関心が高まる」「下落傾向は避けられない」などとさまざま。前回は3人超の激戦とは裏腹に51・84%止まりで、無投票となった前々回を挟んで2011年4月の55・59%と比較して4ポイント近くも下がった。前回同様、50%前後といったところか。当選ラインは、上位の得票にもよるが、前回(最少得票当選者6890票)並みとみられる。
2023年(令和5年) 4月6日(木)付紙面より
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遊佐町の蕨岡、遊佐、藤崎、高瀬、吹浦の町内全5小学校が統合した新「遊佐小」の開校式が5日、同校で行われた。校歌を作詞・作曲したさかなクン(東京海洋大客員教授)のビデオが披露された後、2?6年生の児童たちが「山形のおでこのあたり」で始まる校歌を元気いっぱいに斉唱。未来に向け、新たな歴史を刻んでいく気概を示した。
式典には児童、教職員、来賓、保護者ら合わせて約530人が出席。時田博機町長が「新しい伝統と校風づくりにまい進し、愛される学校に育つことを祈る」と式辞、菅原覚校長が「古里にどっぷりと浸かり、古里を誇りに思う、地域に根差した学校をつくっていこう」とあいさつした。
旧校代表の6年生5人が「下学年の手本になれるよう、しっかり頑張る」「目標は庄内で一番元気なあいさつができる学校」「何ごとにもチャレンジする学校にしたい」などと決意を表明。校歌に限らず楽曲をつくるのは初めてというさかなクンが「ギョ開校、おめでとうギョざいます」とビデオメッセージを寄せた。
子どもたちは「元気いっぱいに歌って」と期待するさかなクンの願いに応え、地元の豊かな自然や歴史、伝統文化などを読み込み、「さあ進もう遊佐 遊佐小学校」で結ぶ校歌を明るく爽やかに歌い上げた。
統合は町の諮問を受けた町学校適正整備審議会が2019年に行った最終答申を踏まえ、遊佐小を校地に23年度に新校を開校すると決定、児童数の増加に対応するため校舎を増築するなど準備を進めてきた。今月11日には新入生62人を迎え、全校児童452人で入学式を行う。
2023年(令和5年) 4月6日(木)付紙面より
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3月23日の鶴岡市議会本会議で百条委員会の中間報告がされた。報告書は市のホームページで閲覧できる。内容は皆川市長と元支援者間の百万円の授受についての、「確認された事実」の記述にとどまり、見解や判断は述べていない。また市長のいわゆる「パワハラ疑惑」については、元職員の証人喚問を行った事実のみ報告している。
百万円の授受についてはひとまず置き、今回言及されなかった「パワハラ疑惑」について現状を再確認したい。昨年5月に市職員にアンケートを行った結果、「皆川市長から直接パワハラと疑われる言動を受けた」という申告が、29件あったと発表された。
問題はここから先だ。パワハラは受けた側の主観で決まるのではない。厚生労働省の定義により客観的に判断しなければならないので、強い叱責がすべて該当するわけではない。29件の中にパワハラ認定されるものがあるのか、あればどの例が該当するのか、百条委は1年近く過ぎても見解を出さずに保留している。
そもそも「パワハラ疑惑」は百条委設置の契機となった実名告発があった。委員会はそれに加えて一般職員だけでなく、過去5年間の退職者までさかのぼり、1271人にアンケートを取った。この調査方針は正しかったのか。百条委は自ら調査対象を広げすぎて迷走しているようだ。
またアンケートへの対処方法は適切だったろうか。百条委の初期には第三者に聴き取りを委託する意見があったが、議論の結果採用されなかった。仮にアンケートの直後から第三者が並行して、聴き取りを進めていればと考える。現在は聴き取り調査が終わり、次の判定段階に進んでいたかもしれない。
一方ではアンケートは一部の市民から、「皆川市長のイメージダウンが目的」と批判されている。批判に応じるためにも、また調査に協力した職員のためにも、いつまでも結論を先送りすることは百条委の信頼性を失わせるだろう。
参考に自治体の首長が対象になった最近の百条委の例と、最終報告までの期間を別表にまとめた。案件により差はあるが、ほぼ1年半以内に結論を出している。中には大阪府池田市や福岡県福津市のように、案件が絞られると数カ月以内に結論を出している例もある。鶴岡市は1年2カ月を経過しても、まだ最終報告への道筋は見えずこれからの日程は不明だ。
首長が百条委の対象になるのは、首長と議会が対立する異常事態である。異常事態は一日も早く事実を明らかにして解消するのが、市政と市民にとって最善だ。百条委は本来の使命を忘れず、スピード感を持って取り組んでほしい。
論説委員 小野 加州男
2023年(令和5年) 4月6日(木)付紙面より
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遊佐町総合交流促進施設(同町、社長・池田与四也副町長)が運営する同町吹浦の西浜キャンプ場・コテージ村で1日、管理棟で保護し長年愛されてきたネコのマック(雄、推定15歳)が村長に就任し、辞令交付式が行われた。
マックは13年ほど前にコテージ村周辺にすみ着いた元野良猫。キャンプ場敷地内では2000年代、野良猫や捨て猫が多く住み着き、同社では不妊去勢手術を施して敷地内に返す活動を行っていた。その後、動物愛護法の改正などで野良猫の数は年々減少したものの、マックは最後まで移動せず人にも慣れていたことから、同社で保護、スタッフの一員として地元住民などに愛されてきた。長年にわたって利用者に癒やしを与えてきた功績をたたえ、今回村長に抜てきした。
この日、池田副町長から辞令書を受けたマックはあくびで返事、周囲を和ませた。池田副町長は「これからも自然体で過ごしてもらいたい。利用者から動物愛護に関心を持ってもらうきっかけになれば」と話した。
マックは人間の年齢でいうと喜寿ほど。高齢のため昼寝をしていることが多く、天気の良い日はお気に入りのベンチの上で日なたぼっこなどして過ごしているという。同社は「マック村長」就任に伴いオリジナルスタンプを新設、管理棟窓口で押すことができる。
2023年(令和5年) 4月6日(木)付紙面より
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鶴岡公園 シート広げのんびり
鶴岡市の桜の名所・鶴岡公園で5日、桜が満開となった。桜の下にシートを敷いて飲食が可能となるなど4年ぶりの「制限なし」とあって、日中から大勢の花見客が繰り出しのんびりと花見を楽しむ姿が見られた。
この日、鶴岡公園ではたこ焼きや串焼き、クレープなどの出店や当てもの屋、かたぬき屋などさまざまな露店が開店。正午近くの時間帯は大勢の花見客が行列を作るなどにぎわった。
妻と3人の子どもと一緒に鶴岡公園を訪れた中島賢志さん(31)=新潟県村上市=は「花見で毎年この公園を訪れている。たまたま休みになった今日が満開で良かった。とてもきれい」と話していた。
市都市計画課によると7日以降は天候が崩れ、花が散る恐れがあるという。公園内では夜桜観賞用に、ぼんぼりを連日午後5時半から同9時まで点灯しているほか、園内の護国神社周辺で午後6時から同9時の間、夜桜のライトアップが予定されている。
鶴岡の名物だんご屋開店 松の木橋 期間限定
「松の木橋のだんご屋」さんとして市民に親しまれている鶴岡市日和田町のだんご屋2軒が5日、今シーズンの営業を始めた。
2軒は親戚同士で隣り合う菅原だんご屋と齋藤だんご屋。ともに本業は農家で、花見シーズンの1カ月限定で店を開き、あんこときな粉の2種類を販売している。同町にある松の木橋近くにあるだんご屋として広く知られており、毎年多くのファンが押し寄せる。
このうち菅原だんご屋では2代目店主の菅原タミ子さん(83)を中心に親戚ら5人が朝から団子作りに追われた。開店の午前8時半とともに次々と常連客が訪れ20本、30本と注文。タミ子さんがはえぬきを使った団子を黒蜜に浸し、きな粉をまんべんなくまぶすなど手際よく作っていた。
タミ子さんは「春が来ると、お客さんのため今年も頑張ろうという気持ちになる。皆さんに『おいしい』と食べてもらえれば」と話していた。
毎年買いに訪れるという高橋千穂さん(38)=庄内町余目=は「この時期の風物詩。とてもおいしくて毎年家族で楽しみにしています」と笑顔を見せた。
両店とも団子は1本110円。来月5日まで営業する予定。問い合わせ、予約は菅原だんご屋=電0235(22)8882、齋藤だんご屋=電0235(22)8883=へ。
酒田 日和山公園ぼんぼり設置
6日からライトアップ
酒田市の桜の名所・日和山公園で4、5の両日、夜桜を演出するぼんぼりの設置が行われた。6日夜から点灯し、桜まつりを盛り上げる。
ぼんぼりは酒田観光物産協会が地元企業の協賛で設置。今年は協賛企業名や「日和山桜まつり」と書かれた全長3メートル余りのぼんぼり計129基を園内に設置する。今年は桜まつりに際して感染対策のための飲食・飲酒に制限を設けず、露店33店舗が並ぶ予定。
4日午後は風も穏やかな晴天の中、作業を請け負った看板・標識製作を手掛けるフルカワ(同市大浜一丁目)の作業員4人が出て、次々と土台にぼんぼりを差し込んでいた。
酒田観光物産協会の佐藤森雄さんは「昨年は桜まつりに約6万6000人の人が訪れた。今年も多くの人が桜を楽しんでくれることを期待している」と話した。
ぼんぼり点灯・千石船のライトアップは6日から。点灯時間は午後6時半―同9時。桜まつりは7日(金)から開催される。