2023年(令和5年) 6月29日(木)付紙面より
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ポストコロナの新たな観光戦略プランの構築に向けた、鶴岡市の策定委員会の第1回会合が27日、市役所で開かれ、インバウンド(訪日外国人旅行)受け入れを重点にした戦略プランを練り上げる作業がスタートした。9月をめどに方向性を取りまとめ、本年度内の策定を目指す。
「詣でる つかる いただきます」を戦略のキーワードに2018年度に策定したプランを引き継ぐもので、24―28年度の5年間のプランとする。観光に携わる事業者や学識経験者ら7人を委員に、観光業に携わる関係者のヒアリングなども実施し、戦略を練っていく。
インバウンドに関する県のコロナ禍前の19年の調査では、中国、台湾、韓国、タイ、シンガポールなど近隣のアジアからは村山地区の受け入れが圧倒的に多いが、欧米豪からは庄内地区が県全体の半数以上を占めている。
会合では外国人旅行者の来訪が多い、出羽三山について発言が相次ぎ、「精神文化をはじめしっかりと価値を伝える取り組みが必要。単なる観光地ではなく、本物の精神文化に触れて人生の中で何度も訪れる『聖地』として巡礼をしてもらい、長期滞在につながる仕組みづくりが必要ではないか」「精進料理もただ食べるのではなく、山を歩いて心を整え、個々の料理にあるストーリーを理解して食べてもらう工夫が欠かせない」などの意見が出され、「海外に新たな講をつくるぐらいの取り組みが求められるのではないか」といった声も上がった。
さらに「コロナ禍明けで観光誘客に向けたスタートラインは、全国のどこも一緒。観光は“外貨”獲得の手段であり、鶴岡は何で打って出ていこうとするのか、そうした戦略が必要だ」「観光に関わる全ての人がチームのメンバーとなり、一つのターゲットを目指す。官民連携でどこにターゲットを置くかが重要になってくる」との意見もあった。策定委は来年1月まで計6回の会合を予定している。
委員は次の通り。
阿部公和(DEGAM鶴岡ツーリズムビューロー理事)木村ともえ(和歌山大大学院観光学研究科准教授)菅原明香(鶴岡全国通訳案内士の会チャットチャット)早坂一広(羽黒町観光協会副会長)前田詩穂(一般社団法人鶴岡サイエンスパーク)大和匡輔(鶴岡シルク代表取締役)吉住登志喜(出羽三山神社参事)
2023年(令和5年) 6月29日(木)付紙面より
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酒田市の十坂小学校(五十嵐敏剛校長)の6年生が27日、総合学習「酒田の魅力を知る」の一環で同市の「舞娘(まいこ)茶屋 相馬樓」(楼主・新田嘉一平田牧場グループ会長)を訪問、酒田舞娘による演舞を鑑賞したほか、施設内を見学して回り、北前船の往来で栄えた往時に思いをはせた。
連綿と受け継がれてきた酒田の文化について児童から理解を深めてもらおうと、同校が酒田DMO(荒井朋之理事長)、相馬樓の協力で初めて企画。今月21日には芸妓の小鈴姐さんと舞娘2人が同校を訪問、講話を通して児童たちは江戸―明治期に遠隔地貿易の主役だった北前船による京文化の酒田伝来などについて学んだ。
27日に相馬樓を訪れたのは6年生36人と五十嵐校長ら教職員。施設内を紹介する動画を鑑賞した後、小鈴姐さんが奏でる三味線の音色と唄に合わせ、酒田舞娘の鈴千代さん、鈴涼さんが地元の「庄内おばこ」「酒田甚句」、季節ものとして「潮来出島」の計3番であでやかな舞を披露した。
児童たちは引き続き、小鈴姐さんらの案内で、併設する「竹久夢二美術館」はじめ蔵を取り囲むようにして建つ施設内を見学し、その装飾に驚きの声を上げていた。児童の一人、佐藤來夢君(12)は「相馬樓に入ったのは初めて。和風感がすごいと思った。酒田にこんなに素晴らしい建物があるなんて。このような文化が残っていることを知るなど酒田について詳しくなった」と話した。
児童たちは今後、これまでの学習を踏まえて酒田の魅力についてまとめ、発表する予定。
2023年(令和5年) 6月29日(木)付紙面より
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鶴岡市立加茂水族館(奥泉和也館長)で飼育されているカリフォルニアアシカの「美海(ミミ)」が、静岡の伊豆・三津シーパラダイスに移ることになった。引っ越し準備に入るため加茂水族館の1階ひれあしプールで見られるのは7月8日(土)まで。飼育員は「少し寂しくはなるが、温かな気持ちで見送ってもらえれば」と話している。
メスの「美海」は2014年生まれ。今月17日に満9歳の誕生日を迎えた。繁殖のためシーパラダイスに移籍する。移動日は7月12日。当日はシーパラダイスのスタッフがケージに入れて運ぶ。
生まれてから9年間、世話をしてきた飼育課の伊藤愛さん(31)は「美海はとても活発なおてんば娘。愛らしさがあり、シーパラダイスに行っても人気者になると思う。元気な子どもを産んで母親として幸せに過ごしてほしい」と話していた。
カリフォルニアアシカの生息地は北アメリカ西海岸。オスで体長約2メートル(体重約300キロ)、メスは約1・5メートル(同80キロ)になる。5月から7月が繁殖期。国内の水族館では近親交配を避けて元気な種を残すためアザラシやオットセイなどの受け渡しを行っている。「美海」がシーパラダイスに移籍すると加茂水族館で飼育しているアシカは計7頭となる。
2023年(令和5年) 6月29日(木)付紙面より
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今年8月にドイツ・ミュンヘンで行われる「世界ろう者ボウリング選手権大会」に日本代表として出場する庄内町在住の坂本圭選手(52)=千本杉=が27日、同町役場を訪れ、富樫透町長らを表敬訪問。「決勝戦に出場できるよう世界の強豪に食らい付きたい」など世界大会への抱負を語った。
デフボウリングは耳が不自由な人が行う以外は通常のボウリングルールと同じ。坂本選手は3歳の時に難聴と診断された。ボウリングを始めたのは約20年前で飲食店対抗ボウリング大会がきっかけ。この大会での敗戦を機に独学でボウリングに取り組み、だんだんとデフボウリングの大きな大会でも好成績を残せるようになったという。2016年に国の強化選手に指定された。現在は鶴岡市内の介護老人保健施設で介護福祉士として働きながら、同市内のボウリング場でプロボウラーなどの指導を受けながら、週2回計6時間ほど腕を磨いている。
世界大会選考会は今年5月に名古屋市で行われ、男子の部には全国から強化指定選手11人が出場。坂本選手を含む6人が代表に選ばれた。県内からの出場は男女含め坂本さんのみ。世界大会では個人、ダブル、トリオ、団体の4種目全てに出場する予定。
この日は坂本選手が同町役場を訪れ、富樫町長らと懇談。富樫町長が「世界大会に出ることができる人は限られており、素晴らしいこと。地域の代表として最高のプレーをしてきてほしい。いい報告を待っています」と激励し、お祝い金を手渡した。坂本選手は「世界大会でメダルを取ると25年に東京で開催されるデフリンピックでシード権を得られるのでメダルを目指して頑張りたい」などと話していた。
2023年(令和5年) 6月29日(木)付紙面より
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酒田市の酒田駅前交流拠点施設「ミライニ」内のエンガワラウンジで24日夕、チェンバロ・オルガン奏者の黒木香乃さん(同市)による「光の湊・黒木香乃イブニングコンサート」が開かれ、チェンバロ演奏を通して市民らがクラシックに親しんだ。
市民や観光で訪れた人に楽しんでもらえる場を提供しようと、昨年7月から毎月最終土曜日に開催している「光の湊イブニングコンサート」の一環。今回は酒田キリスト教会でのオルガン礼拝をはじめ、県内外で通奏低音奏者として活躍している黒木さんが「はじめてのチェンバロ」をテーマにクラシックを演奏した。
この日はステージを聴きに多くの人がラウンジに詰め掛けた。見た目はピアノに似ているが、チェンバロは爪で弦をはじく撥弦(はつげん)楽器のため、音の強弱がつかず繊細な音色が特徴。黒木さんはクリスティアン・ペツォルト「メヌエット」や、ヨハン・セバスティアン・バッハの次男・カール・フィリップ・エマヌエル・バッハが少年の頃に作曲したとされる「マーチ」など、曲や楽器の解説を交えながらクラシックを披露。ピアノとはまた違った優しく柔らかなチェンバロの響きに、聴衆はうっとりと聞きほれていた。
演奏終了後、楽器に実際に触れる時間が設けられ、「ハヤシチェンバロ製作所」(仙台市泉区)の林裕希さんがチェンバロについて詳しく解説。クラシック愛好者や子どもたちは興味津々で楽器に近づき、「きらきら星」を弾いて体験するなど、チェンバロに触れて親しんでいた。