2023年(令和5年) 7月1日(土)付紙面より
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高い評価を受ける酒田市内の料亭の味を若い世代から知ってもらい、ファン獲得につなげようと、同市の観光地域づくり法人・酒田DMO(荒井朋之理事長)は、庄内地域の料亭・飲食店で組織する県調理師組合「調桜会」(阿部秀志会長)と連携し、料亭で調理した料理を社員食堂で提供する「料亭コラボランチ」をスタートさせた。初回が29日昼、同市のプレステージ・インターナショナル山形BPOパークで行われ、社員が料亭の味に舌鼓を打った。同社では今後、2カ月に1回のペースで実施していく予定。
市中期観光戦略アクションプログラムに基づき昨年6月に設立した酒田DMOは、観光関連団体・観光事業者と連携体制を構築して観光ニーズに対応するとともに、新たな観光誘客の推進による地域経済の循環に取り組むもので、観光動向調査、観光客の特性など収集したデータに基づく観光コンテンツの構築、観光プロモーションの実施、情報発信を展開。同8月には観光庁の候補DMOに登録された。
酒田には昔ながらの伝統を守りつつ、おいしい料理を提供する料亭が多くあるものの、支えているのは年配の常連客が中心。同法人が、調桜会の会員店に対してヒアリング調査したところ、若い世代のファン開拓、コロナ禍に伴う利用客の減少が課題となっていることが分かった。
同法人と調桜会は今回、「未来の常連客」となる若い世代から酒田の食文化の素晴らしさを広く知ってもらうとともに、「敷居が高い」と思われている料亭を身近に感じてもらおうと、市の助成、同社の協力を得て「美酒美食の街さかた事業」の一環としてコラボランチを企画した。
同社社員食堂「ARCH0138。cafe(カフェ・アーチイチサンハチ)」で行われた初回は、料亭「香梅咲」(日吉町一丁目)が調理を担当。▽サーモンのみそ粕焼き▽合鴨のロースト▽赤カブ漬け▽卵焼き―など山海の幸を少量ずつ盛り付けた「八寸」に、文化庁「100年フード」に認定された「むきそば」を添え、一食400円で提供。午前11時頃から社員が訪れ早速、味わった。同僚と席を囲んだ後藤里穂さん(22)は「香梅咲の前を通ったことがあるが、敷居が高そうと思っていた。お気に入りはむきそば。もちもちしている上、味が染みている」と話した。
同法人の小林和也さんによると、同社での次回は9月の予定。「市内外を問わず社員食堂がある企業に対し、実施を呼び掛けていきたい」(小林さん)という。
2023年(令和5年) 7月1日(土)付紙面より
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鶴岡市早田の道の駅「あつみ」しゃりんで29日、「あつみの魚屋 さがなぁや」がオープンした。敷地内の鼠ケ関水産加工生産組合の販売ブースで新たに鮮魚や刺し身、すしなどを販売している。
庄内浜産の鮮度の良い魚介類を多くの人に知ってもらおうと、しゃりんを経営するクアポリス温海(矢口泉支配人)らが初めて企画した。
初日の29日は地元で取れたノドグロや岩ガキ、ホッコクアカエビ(甘エビ)など約20種の魚介が並んだ。岩ガキとサザエ、イカは浜焼きでの提供も可能。店先の飲食コーナーで味わうことができる。すしネタはアラ、マグロ、タイ、ヒラメ、甘エビの5種。2貫と3貫のパックがあり、2貫は同一ネタで150―200円、3貫はランダムで500―600円の価格設定となっている。
このほかスルメやガサエビのえびせんといった加工品も豊富。訪れた人は何を手に取ろうか迷いながらも買い物を楽しんでいた。
定期的にしゃりんに訪れるという村上市の大野悟さん(59)は「海風を感じながらすしや刺し身を楽しめるのは最高。県外客もよく訪れる所なので、庄内の海鮮の新鮮さが今以上に知られていくのではないかと思う」と話した。
期間は7月18日(火)までの20日間。底引き網漁が再開する9月上旬に再び開店する予定。
2023年(令和5年) 7月1日(土)付紙面より
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高等教育の充実は地域から―というのだろう、全国で大学の公立化が進んでいる。酒田市の東北公益文科大学も、県や庄内5市町などで公立化・機能強化を検討している。県は公立化・機能強化に関する調査費を6月定例県議会に提出した補正予算案に盛り込み、吉村美栄子知事は「スピード感を持って関係者間の合意形成を図る」と述べた。
公益大は2001年の開学。日本の大学初の公益学も次第に浸透し、17?22年度は6年連続定員を超えた。23年度は若干定員を下回ったものの、海外留学への手厚い支援など特色ある教育内容への評価が高まり、存在感が定着しているのは確かだ。公益大の実績をさらに推し進め、定員確保のためにも公立化への道筋をしっかり立ててもらいたい。
◇ ◇
公益大の公立化については、庄内5市町に加え、酒田・鶴岡両商工会議所、庄内地区商工会広域連携協議会の、庄内経済3団体も早期実現を県に要望している。2月の県議会で吉村知事は「今後の少子化に伴い、学生確保は大学間での競争の激化が予想される。公益大は地元高校生の県内進学に対する意欲を喚起し、時代の要求に応じた人材育成につなげたい」と、公益大の公立化・機能強化の必要を語っている。
文部科学省によれば、1989年以降、全国では公立大学の割合が増えている。実数では同年の公立大39大学(学生数約6万人)が、22年5月には99大学(同16万人)になった。丸山至酒田市長も昨年12月の記者会見で「少子化で、特に社会科学系の大学は学生確保が厳しさを増している」として、公益大の公立化による教育の充実は喫緊の課題と述べている。
公益大の公立化の必要性は県、庄内の5市町と経済界も共通した認識だ。県も本年度に公立化・機能強化に向けて検討する「高等教育政策・学事文書課」を新設、6月県議会に1700万円の調査費を提案する一方、公立大法人が運営する国際教養大学(秋田市・03年開学)と会津大学(福島県会津若松市、1993年開学)を視察している。公益大も公立化を視野に国際教養学科(仮称)の25年度新設を目指している。
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公立化では庄内5市町と県の意見も交わされ、市町側から「少子化が進む中、公立化しなければ学校経営が難しい」、県から「全国からの志願者数と地元就職率の問題、将来的にわたって自治体運営にどのような影響を及ぼすか見極めたい」などの意見が出され、解決しなければならない課題もある。
少子高齢化の中で、大都市圏や地方を問わず幅広い分野で活躍できる人材育成が求められているという。そうした中で地方大学は「知の拠点」となって、地域ならではの人材を育て、地元に定着してもらって地域経済と社会を支える力になってもらう。公益大の公立化は、そのような社会形成につながるのではないか。
2023年(令和5年) 7月1日(土)付紙面より
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庄内町立谷沢の月の沢温泉北月山荘の食堂が7月6日(木)にフレンチ食堂「モン・ヴィペール」としてリニューアルオープンする。フレンチシェフの経歴を持つ同町の地域おこし協力隊員・富樫一仁さん(41)が調理を担当。28日には試食会が北月山荘で開かれ、関係者が地元食材にこだわったフレンチを味わった。
北月山荘の食堂は前任業者が今年3月末まで営業していたが、後任の業者が決まらず、4月から営業を中止。施設は宿泊と入浴のみの営業を続けていた。
今年2月、同町の地域おこし協力隊として着任した冨樫さんは鶴岡市鼠ケ関出身。大学卒業後に新潟市内でフランス料理のシェフとして勤務した経験を持つ。北月山荘を拠点に立谷沢地区の観光と誘客を行う地域おこし協力隊としてのミッションと、富樫さんの庄内町の食材への理解を深めたいという思いが合致し、食堂のリニューアルオープンが決まった。
店名のモンは山、ヴィペールは地元で珍重されるマムシの意。富樫さんが厨房を切り盛りし、富樫さんの妻で、新潟市でメニュー企画など食品関連会社「ルシェーヌ」代表を務める智夏さん(40)が経営を担う。当面は宿泊の客をメインに夕食のフレンチ(前菜、魚料理、肉料理、デザートなど)と朝食の和食(ご飯、みそ汁、サラダ、副菜など)を提供する。
この日の試食会には富樫透町長や地元町会議員ら関係者12人が参加。富樫さん夫妻の手による庄内町産の卵や肉、魚、野菜、米粉、果物をふんだんに使った「ガッサーモンのタルタル」「雪若丸のトルティーヤ」「庄内豚のローストと赤ワイン煮」「クレームブリュレ」の4品を試食。参加者は「普段使い慣れた食材がこんな形になるとは」と話しながら舌鼓を打っていた。富樫さんは「料理をすることを主目的に地域おこし協力隊に応募したわけではないが、料理人としてここで料理を作る機会をもらった。庄内町産100%を目指したい。地域の外から来た人は庄内産のものを食べたいと思うので、地元のおいしい食材をPRしていければ」と話していた。
北月山荘は金、土、日、祝前日に11月末まで営業。1泊2食付きでいずれも税込み大人1万円、子ども8200円。問い合わせなどは北月山荘=電0234(59)2137=へ。
2023年(令和5年) 7月1日(土)付紙面より
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社会ルールを守り、正しい判断力を身に付けるための学習教室「キラキラハート」が27日、酒田市の富士見小学校(佐藤克彦校長)で行われ、講話を通して児童たちがルール順守の大切さを学んだ。
同校では、酒田警察署(熊坂嘉幸署長)や酒田地区少年補導員連絡会の協力で、いじめ・犯罪防止やSNSでの誹謗中傷を防ぐことを目的に毎年、非行防止教室を実施している。
この日は同署員をはじめ県警察本部少年サポート庄内の職員、少年警察大学生ボランティア、少年補導員計14人が同校を訪問。低・中・高学年単位で教室を実施した。
このうち3、4年生110人の教室では、大学生ボランティアが「万引する人を横で見ていただけの友達は犯罪になるでしょうか」「SNSに自分や友達のことを書いたらどうしてダメなのでしょうか」といった犯罪や個人情報に関するクイズを出題、児童たちは率先して手を挙げ「誘拐されるかもしれない」「学校に不審者が来るかもしれない」と口々に解答。身を守るためにさまざまなルールがあることを聴講し、理解を深めた。
4年の遠田夏希君(10)は「知らなかった犯罪を知ることができた。友人と話す時も言葉の使い方に気を付けようと思った」と話した。