2023年(令和5年) 7月19日(水)付紙面より
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庄内町狩川の町立川総合支所をリニューアルした町立川複合拠点施設「タチヨリ」が18日オープン。同日開館式が行われ、関係者がテープカットなどでタチヨリのスタートを祝った。
立川総合支所は1979(昭和54)年に旧立川町役場として建設。2005年に庄内町の合併に伴い、町役場立川支所、19年4月に総合支所となった。建設から約40年が経過し、施設の老朽化などから、町では20年に改修整備基本計画を策定。総合支所、図書館分館、狩川まちづくりセンター、学童保育所など総合支所周辺の施設機能を集約し、今年3月末にリニューアル工事を完了した。
1階には行政窓口のほか、狩川まちづくりセンター事務室、同センターから移動した図書館分館を設置。また、カフェラウンジや体調不良者などにも対応できる和室など特に利便性が配慮される機能を配置した。2階は地域包括支援センター事務室、個人から団体まで多様な活動に利用できる貸し活動室3室、子育て世代やお年寄りにも使いやすい畳コーナー、学習室などを設けた。3階は、かつて議場だったスペースを議場の面影を残しながらミニホールに改修。町内外の人も集まりやすいよう大会議室も備えた。延べ床面積は約2736平方メートル、総工事費は約4億5000万円。
町に寄せられた愛称案の中から昨年11月、町と共に施設を運営する「風来風流(からふる)の会」メンバーを中心に愛称を「タチヨリ」に決めた。「地域の人がふらっと寄り道をしたくなる場所」「誰でも気軽に集い合える寄り添う施設」などの意味を込めた。
この日の開館式には立川小、中学生や町関係者ら計約230人が出席。富樫透町長が「待ちに待ったオープン。真っ白なキャンバスに絵を描くように多くの人から学び、集い、発信する場として自由に活用してほしい」、風来風流の会の石川俊一会長が「これだけ多くの機能が集まる施設は全国的にも珍しくタチヨリの役割は大きい。文字通り地域の拠点施設となるよう発展していきたい」とそれぞれあいさつ。富樫町長、石川会長、田澤伸一県議、石川保町議会議長ら9人がテープカットし開館を祝った。式典後には大勢の町民らが訪れ、施設を見学するとともに施設内のカフェでアイスコーヒーやチーズケーキを買い求めるなど楽しんでいた。
ミニホールでは、酒田フィルハーモニー管弦楽団の弦楽室内カルテットがこけら落とし公演を行い、開館に華を添えた。
2023年(令和5年) 7月19日(水)付紙面より
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酒田商業高跡地(酒田市有地)に民間資金で商業・観光施設を整備する事業が、資材費高騰の影響で建設規模を当初計画から縮小、JA庄内みどりもテナントの出店を見送ることになった。工事は今年12月に着工、予定通り2025年3月の完成を目指す。
大型事業では資材費や人件費高騰で計画が見直されることがある。酒田市民会館・希望ホールや鶴岡市文化会館・荘銀タクト鶴岡も同様だった。2年後に予定されている大阪・関西万博も人材不足と資材高騰で計画が遅れているという。酒田市の新商業施設の計画見直しは残念としても、山居倉庫などの周辺施設と呼応しながら市の活力発信の場になることは確かであろうし、期待を寄せたい。
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計画が変更された新商業施設は、約2万平方メートルの敷地に、ともに平屋建ての日用雑貨とフードコート、物産館が入るA棟(約4000平方メートル)と、スーパーマーケットのB棟(約2800平方メートル)の2棟を建設、約300台分の駐車場を確保する。当初は2階建て延べ床面積約7900平方メートルの建物を予定していた。また、JA庄内みどりは山居倉庫に隣接している産直「みどりの里山居館」の移転を予定したが、テナント料で合意できなかった。
山居倉庫は酒田市の象徴となる観光施設。倉庫前を流れる新井田川に架かる歩行者専用の山居橋を渡れば、酒田町奉行所跡、豪商の本間家旧本邸、北国一の回船問屋と称された旧鐙屋などが徒歩圏内にある。商業高跡地の再開発で新しい物産館などができれば、相乗効果を高めることになる。
山居倉庫の道路向かいの旧消防本署跡地に、移住とまちづくりを目指す地域交流拠点形成事業「TOCHiTO(とちと)」ができた。「TOCHiTO」には「居住棟」と「交流棟」があり、移住者がここを拠点に地域を学び、市民と交流する場所との意味がある。移住者の入居もほぼ完了し、交流棟は事業者がサテライトオフィスに、移住者がリモートワークに利用できる。開かれたスペースの活用拡大は、地域振興のプラスになる。
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山居倉庫とTOCHiTOに隣接して新しい商業施設が加わり、「観光と商業と移住」の「トライアングル(三角形)」が誕生する。これらの施設を起点にした人の流れが生まれるに違いない。人が減り、中心商店街の空洞化も進んでいるだけに、活力を呼び戻す起爆剤になってもらいたい。
新商業施設には、北前船交易と米の集散地だった往時の繁栄を取り戻したいとの構想が込められる。山居橋を渡って少し足を延ばせば、山王くらぶ、舞娘茶屋相馬樓など港町文化に触れることもできる。無料の観光用自転車に乗って2?3時間の観光コースもある。山居倉庫と相乗性を持たせ、新商業施設を大いに活用したい。
2023年(令和5年) 7月19日(水)付紙面より
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鶴岡市出身の作家・藤沢周平原作の小説を落語で再現する「第2回らくごDE藤沢周平」が15日、鶴岡市の荘内神社参集殿で開かれた。落語家の桂そうばさんが藤沢作品「遠ざかる声」を披露し、大勢の観客を楽しませた。
そうばさんは1978年福岡市生まれ。2005年に落語家の桂ざこば氏に入門し、昨年から藤沢作品の落語化に取り組んでいる。鶴岡市では昨年11月に続き2回目の開催で、ほかに東京や大阪などでも同様のイベントを開いている。今回は鶴岡市と市教育委員会が後援し、藤沢周平事務局(東京都)や鶴岡市立藤沢周平記念館、荘内神社が協力した。
会場に集まった市民など160人余りを前に、そうばさんは上方古典落語の「上燗屋」と「手水廻し」の番組2本を上演。「上燗屋」は、酔客があの手この手を使い無料で酒のアテを食べようとする話で、「第9回上方落語若手噺家グランプリ2023決勝戦」(6月、大阪市)でそうばさんが優勝した際にも上演した。また、「手水廻し」は昔の上方方言の“ちょうず”を巡る滑稽話。関西弁で面白おかしく語るそうばさんの姿に、観客たちは大きな笑い声を上げていた。
中入り後は藤沢作品「遠ざかる声」(文春文庫「夜消える」収録)を披露。原作は、内儀を亡くした大物屋の主人が後妻を迎えるに当たり、亡き妻の仏壇に報告したやりとりを描いた人情味あふれる「市井もの」の作品となっている。
そうばさんは「やかましいねん!」「鼻高々やで!」「ほんに、ほんに」など藤沢作品を関西弁で表現。原作とは違う雰囲気ながら、小気味の良い語り口で藤沢作品を落語で表現した。
市内の70代男性は「昨年も聞きに来ており今回も楽しみにしていた。やはり最後の『遠ざかる声』が一番面白かった。来年もぜひ開催してほしい」と話していた。
2023年(令和5年) 7月19日(水)付紙面より
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家族で防災について考える「サマー防災キャンプ」が15日、酒田市の旧南遊佐小学校で開かれ、参加した親子が二次燃焼ストーブ作りや炊き出しなどを体験し災害への備えを学んだ。
同市の酒田青年会議所(JC、荒生卓真理事長)が主催。豪雨災害などが近年増加していることを受け、市民の防災意識向上を図ろうと酒田JCインフラ整備委員会(土井渉夢委員長)が初めて企画した。
この日は12組24人の親子が参加。宮城県石巻市を中心に在宅被災者の支援活動などを行っている一般社団法人「BIG UP石巻」の阿部由紀代表理事を講師に東日本大震災の体験・教訓を学んだほか、避難生活を想定した炊き出し体験や、酒田地区広域行政組合消防本部遊佐分署による応急救護・搬送方法や心肺蘇生法の講習も行われた。
「煙体験ハウス」を使った火災疑似体験では、人体に無害な煙が充満した長さ約5・4メートルのテントの中を歩き「足元も何も見えない」「方向が分からなくなる」と火事の怖さを実感。その後、遊佐分署員から「なるべく体勢を低くして、建物の隅を歩くように」などと講習を受けた。
同市亀ケ崎四丁目から参加した土屋雄樹さん(36)、綾乃さん(11)親子は「ポリ袋に米と水を入れてお湯に漬け、ご飯を炊いたのが印象的だった。津波や地震が起きた時、今日学んだことを生かしたいと思う」と話した。