2023年(令和5年) 7月21日(金)付紙面より
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酒田市と協定サンフロンティア
地域振興へ連携 25年9月開業目指す
全国各地でさまざまな形態のホテル運営を手掛けるサンフロンティアホテルマネジメント(東京都)の堀口智顕社長は19日、酒田市の酒田まちなかホールで会見し、同市中町三丁目のパイレーツビル跡地約2425平方メートルを購入し、171室を備える10階建てホテルを建設すると発表した。同社にとって東北・北海道地域への進出は初めて。来年1月ごろに着工し、2025年9月の開業を目指すという。
飲食店が複数入居し、同市中心部のにぎわいの象徴だったパイレーツビルは2019年末、電気設備の故障に伴って全館が停電したことから全ての事業を停止。昨年5月からビル解体工事が行われ、現在は更地になっており、庄内地域の企業が所有している。
堀口社長が1999年に立ち上げた不動産再生・サービスなどのサンフロンティア不動産(東京都、齋藤清一社長)のグループ会社の一つで、2015年設立のサンフロンティアホテルマネジメントは「心温かい楽しいホテル」をテーマ、「お客様にとって『世界でたった一つのホテル』に」をコンセプトに掲げ、1都2府11県で計21のホテルを運営している。
同社は昨年来、東北・北海道地域へのホテル進出を計画し、同市の4カ所を含め各地の候補地を視察。堀口社長と加藤聡酒田商工会議所会頭が、故稲盛和夫氏による経営者の勉強会「盛和塾」で20年ほど前から親交があったこともあり、パイレーツビル跡地への進出に向けた話がまとまった。
会見した堀口社長によると、酒田のホテルは、同社が沖縄県宮古島市、長野県松本市で展開している地域密着型ホテル「たびのホテルlit」ブランドを導入。シングル、ツイン、ダブルなど15―30平方メートルの広さの計171室、最上階には大浴場やサウナを整備する予定。地元から70―80人の雇用創出も見込んでいるという。
堀口社長は会見で「ビジネス客だけでなく、観光客を含めたアッパーミドルクラスのホテルにする。地元産食材をふんだんに使用した料理の提供、周辺飲食店とのコラボレーションも考えている」と述べた。
会見に同席した丸山至市長は「全国展開する企業の視点でアドバイスをもらいながら、酒田の可能性が花開くような事業展開を期待したい」、加藤会頭は「にぎわい創出で、人的交流がさらに進展することを祈念する」と。堀口社長は「酒田舞娘(まいこ)をはじめ酒田の文化に魅力を感じた。ホテル建設で地域経済の生き返りが期待できる。酒田を元気にするという思いで頑張っていく」と述べた。
一方、会見を前に、同社と市は「地域振興に向けた連携協定」を締結した。連携・協働による活動を推進し、地域の振興・活性化を図っていく。具体的には▽にぎわい・交流人口の創出▽中心市街地の活性化▽地域・観光資源の活用―などに共に取り組む。
2023年(令和5年) 7月21日(金)付紙面より
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酒田市の東北公益文科大学(神田直弥学長)で16日、オープンキャンパスが開かれ、県内外から訪れた高校生と保護者らが大学の雰囲気や学びに触れた。
学生募集活動の一環として公益大の研究内容や学生生活、入学試験などについて広く知ってもらおうと毎年開催。内陸方面から無料送迎バスも出し、事前に申し込みを済ませていた高校生138人と保護者が参加した。
三木潤一公益学部長・教授が公益大の学びについて説明した後、担当教官が各コース、職員が入試や就職などの支援、充実している留学・奨学金などに関してそれぞれ紹介した。
参加高校生は、学生有志で組織するオープンキャンパス学生スタッフ=六沢友香代表(20)、19人=の案内でキャンパスやドミトリー(学生研修寮)を巡ったり、カフェテリアでのランチ、学生とのフリートーク、ゼミフェスと銘打った学生によるコース紹介などで大学生活の一端に触れた。
参加高校生たちは「広々として明るい。ここで学びたい」などと感想。六沢代表(3年)は「高校生、保護者の皆さんに公益大の魅力をもっと伝えたい。明るく元気よく、互いに楽しめるようにしたい」と話した。次回は8月6日(日)の予定。時間は午前10時から午後3時半まで。問い合わせなどは公益大入試事務室=電0234(41)1118=へ。
2023年(令和5年) 7月21日(金)付紙面より
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酒田市の酒販店などで組織する庄内酒彩倶楽部(池田吉伸会長、8店舗)、同市の刈屋梨出荷組合(佐藤尚人組合長)による刈屋梨供給締結式が19日、同市の刈屋公会堂で行われた。出荷組合が供給する梨を使用して同倶楽部は、オリジナルワイン「梨のミューズ」、微発泡性生ワイン「梨のデアノイエ」、常温保存が可能なスパークリングワインを醸造する。
2003年8―9月に相次いで襲った台風の影響で収穫間近だった刈屋梨の7割が落下した上、塩分を含む「潮風」の被害で葉は変色、残った梨もかなり傷が付いた。売り物にならなくなった梨の有効活用を図ろうと、同倶楽部が「梨のミューズ」を醸造・発表したのが供給締結の始まり。以降、供給された刈屋梨を使って「梨のミューズ」「梨のデアノイエ」を毎年発表、フルーティーな味わいに固定ファンも多い。「先進的な農商工連携、独自酒類を開発・販売し、地域農産物の付加価値・知名度向上に寄与した」として14年度、同倶楽部は市制定「新田産業奨励賞」を受けている。
今年の契約覚書によると、ワイン醸造用として組合員が生産した豊水600キロとラ・フランス400キロの計1トンを同倶楽部に供給。同倶楽部は刈屋梨の知名度向上に向けて全面的に協力していく。
この日は両団体から計12人が出席。池田会長が「毎年おいしい原料を供給いただき感謝。今年も天候が順調に推移し、梨がたわわに実ることを祈念する」とあいさつ。佐藤組合長は「私が生産に携わってから最も早い開花で、霜被害が懸念されたが大丈夫だった。今のところ、平年並みの収穫量を見込んでいる。より良い梨を供給できる作業に取り組む」と述べた。その後、2人が覚書に署名・押印し交わした。
「ミューズ」「デアノイエ」とも鳥海山・飛島ジオパーク認定商品。「デアノイエ」は例年通り12月の発売開始を予定している。いずれも醸造はオードヴィ庄内(同市浜中)が手掛ける。