2023年(令和5年) 7月7日(金)付紙面より
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鶴岡市で新たな事業創造にチャレンジすることを目的とした「鶴岡イノベーションプログラム」の事業構想発表会が5日、同市の荘銀本店ホールで行われた。アートを生かした観光プログラムやストレス発散につなげるアプリ開発など、昨年12月から15回にわたる講座を受けてきた1期生24人が、チームで練り上げてきたビジネスプランを紹介した。
小売りや飲食店、農業関係などの会社員や事業者ら高校生を含む50代までの24人による7チームがそれぞれのプランを発表。子どもたちの国際的な視野を養うために在住外国人との交流や英語と日本語で庄内の文化を学ぶ体験の提案、市内4つの温泉をつなぐために各所でアート作家による空間を創出するとともに、移動手段となる路線バスにもアートを施すアイデアが紹介された。
このほか、LED照明で太陽光を再現した屋内公園を整備し、精神を安定させるという「セロトニン」の分泌を促すような構想、ストレス発散やイライラ解消を目的に匿名で口げんかできるマッチングアプリ開発、遊休施設を活用したドラマで人気の「デスゲーム」を模した1000人規模のイベント開催などのプランもあった。プラン練り上げには地元の金融機関の担当者らがサポートに回り、各担当者によるプラン実現への支援を訴える応援コメントもあった。
野村総合研究所が協力するプログラムで、鶴岡市や地元の金融機関、商工団体などで組織した実行委員会(委員長・松田正彦荘内銀行頭取)が主催。7チームの事業構想発表の総括として、野村総研の此本臣吾会長兼社長が「ここからが始まり。無茶苦茶な構想こそ将来、思わぬ大きな果実が生まれる可能性がある。野村総研としても構想の実際の立ち上げまで支援していく」と述べた。
発表会には行政や金融機関、不動産業者などの関係者約170人が参加。発表後、各チームとの名刺交換も行われた。同プログラムは来年度も継続するという。
2023年(令和5年) 7月7日(金)付紙面より
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鶴岡市の鶴岡南高の同窓会「鶴翔同窓会」の総会と学校創立135周年記念祝賀会が5日、同市のグランドエル・サンで開かれた。鶴岡北高との統合による中高一貫校「県立致道館高校・致道館中学校」の来春の開校を控え、鶴岡南高としては“最後の総会・祝賀会”となり、齋藤正志同窓会長は「135年の歴史と伝統は形を変えて脈々と受け継がれる」と、明治の旧制中学時代から続く鶴南の伝統を踏まえた致道館高校の発展へ期待を込めてあいさつした。
同窓会総会では、最終年度となる本年度の事業計画を承認。来年2月11日に鶴翔同窓会の閉会式をグランドエル・サンで開催し、併せて多くの同窓会員の寄稿を募って掲載する最終の同窓会だより「閉会記念号」を発行する。学校の閉校式は11月29日に荘銀タクト鶴岡で行われる。
統合に伴う鶴岡北高同窓会との組織については、初代会長を鶴翔同窓会側から選任し、一本化する同窓会の名称は「山形県立致道館高等学校同窓会」とすることが報告された。第1回の致道館高校同窓会総会・懇親会は来年7月6日に開催し、両校の卒業後40年と30年のOB・OGを中心にした実行委員会をつくり、実施する方針が示された。
引き続き創立135周年記念祝賀会が開かれ、同窓会員や教員ら約160人が出席。コロナ禍のため4年ぶりの開催となり、出席者からは「鶴南最後の年に集まることができて良かった」といった声が上がった。齋藤会長、遠田達浩校長が「新たな旅立ちに気持ちを新たにしたい」などとあいさつ。新高校移行の船出への思いを込め鏡開きを行った。
総会などに先立ち、荘銀タクト鶴岡で全校生徒出席による創立記念式典と記念講演会も行われた。
2023年(令和5年) 7月7日(金)付紙面より
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マイナンバーカードを巡るトラブルがあとを絶たない。健康保険証や公金受取口座の登録ミスなどが続き、不信感からカード返納を呼びかける人たちも現れている。
トラブル続きの根源は何か、実はマイナンバーカードのサンプルに象徴されるように思う。どこの自治体も同じサンプルを使っているので、中央官庁で作成したと思われるが、住所欄に「◇丁目○番地▽▽号」と書いてあるのが問題だ。
住所の表示方法には、「地番」と「住居表示」の2種類がある。昔は日本中すべて地番で表しており、住居表示が始まったのは1962年からだ。現在はこの地番と住居表示が、ひとつの市町村内で混ざって使われている。もちろん山形県も。
簡単にいえば地番は土地につけた番号で、住居表示は建物につけた番号だ。だから家や建物ができて市街地化が進んだところから、順番に住居表示が実施されている。田畑や山林が多く家が少ない場所は住居表示はされていない。
そして肝心な点は、地番で住所を表すとき正式には「○○番地▽▽」と書く。一方、住居表示は「○○番▽▽号」と書く。たとえば鶴岡市役所の住所は、鶴岡市馬場町9番25号であり、9番地25ではない。ただし日常的には簡略化して数字だけで、馬場町9―25と書く場合も多い。
もうお分かりと思う。「○番地▽▽号」という住所の表示は間違いだ。地番と住居表示を混同しているので、こんな書き方の住所は一般的にはない。役所が初歩的なミスに気づかないのか、または気づいても知らん顔しているのか、サンプルが誤りとはあきれた話だ。
この間違ったサンプルが堂々とまかり通る背景に、マイナンバー制度の問題が透けて見える。個別のトラブルの原因はあるだろうが、これほど続いて起こるのは、根本的な行政組織のあり方や、業務の仕組みに根ざすのではないか。
「新しい酒は新しい革袋に盛れ」の例えもある。まず役所が自らを改革しなければ、デジタル化だけを急いでも、国民が満足する制度にはならないだろう。
2023年(令和5年) 7月7日(金)付紙面より
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障害のある人もない人も運動を通して交流する「パラパラリンピック」が2日、庄内町体育センターで開かれ、参加者がオリジナルスポーツで汗を流した。
2019年まで障がい児者支援ボランティアグループ「あっとほーむ」が行っていた運動会を、昨年から障がい者の親の会「手をつなぐ育成会」(飯野つや子会長)が引き継ぎ、リニューアルして開催している。
この日は町内の5―70代男女約80人が参加。参加者は4チームに分かれ、床に置いたフラフープの中にボールを投げ入れ、フープ内にある目標に近い玉が高得点になる「ボッチャボッチャ」、1人がゴムの付いた布にサクランボ型のお手玉を入れて引っ張って飛ばし、もう1人が得点ごとに分けられた仕切りカゴで受け止める「アーチェリーチェリー」などユニークなオリジナルスポーツ5種目で交流した。
このうち、アーチェリーチェリーはなかなか放物線に玉が飛ばず、仕切りカゴを持った参加者が受け止めきれずに落としてしまうなど悪戦苦闘していた。飯野会長は「今後は庄内町だけでなく、近隣の市町にも参加を広げていきたい。コロナ禍では難しかったが、このイベントを通して親同士が結びつきを強めるきっかけになれば」と話していた。
2023年(令和5年) 7月7日(金)付紙面より
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認知症の人が安心して暮らせるまちづくりについて考える「認知症講座」が4日、鶴岡市の櫛引東小学校(芳賀恵美校長、児童76人)で開かれた。
福祉学習の一つとして同校と鶴岡市社会福祉協議会「地域包括支援センターくしびき」がタイアップして企画した。
この日は4年生の子どもたち14人が参加。支援センターくしびきの渡部りつさんが講師となり、認知症になった人の心を傷つけずその家族を温かい目で見守る接し方について伝えた。
会場では、子どもたちに分かりやすく理解してもらうため支援センターくしびきのスタッフや同校の教諭らが「寸劇」を披露。道に迷った認知症のおばあちゃんへの正しい対応を演じた。
渡部さんは「認知症の人を1驚かせない2急がせない3プライドを傷つけない―の『3つのない』について理解し、地域で支え合っていきましょう」と呼び掛けた。
このほか講座では、あらかじめ鶴岡警察署に認知症情報を登録し、徘徊(はいかい)で行方が分からなくなった場合の早期発見につなげる「SOS見守りネットワーク」という制度についても説明した。