2024年(令和6年) 2月11日(日)付紙面より
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酒田南高校(齋藤法明校長、酒田市浜田一丁目)の生徒が2年間にわたって「庄内三十三観音」を巡礼体験した。高校生の視点で巡礼の魅力を発信してもらおうと庄内観光コンベンション協会(県庄内総合支庁事務局)が同校にアプローチ。観光地域創生を専攻する男女生徒(3年生10人)が参加し、各寺院で住職の話を聞いたり般若心経を唱える体験を積んだ。その活動をもとに35札所を擬人化したキャラクターカードをデザイン。SNSで発信するほか、各寺院に配布し「庄内三十三観音巡礼」に役立てる。
巡礼体験は2022年にスタートした。首番の羽黒山荒沢寺(鶴岡市羽黒町手向)から第1番の羽黒山正善院(同)、第33番の金峰山青龍寺(鶴岡市青龍寺)、番外の慶光山観音寺(酒田市亀ケ崎五丁目)まで35札所をすべて巡った。
各寺院で生徒は庄内三十三観音巡礼が行われるようになったいきさつや、住職から慈悲深い観音様の説明を受けた。その成果を「形」に表わそうと擬人化したキャラクターカードを考案。全札所のカードを網羅したポスターも考えた。
三川町の県庄内総合支庁で9日に行われた成果報告会には、体験活動を受け入れた各寺院の住職や関係者合わせて約40人が参加。生徒がプロジェクターを使って体験の様子を動画で紹介した。キャラクターカードのほかに活動成果として▽住職とのお参りデート企画▽精進料理のレシピ紹介▽お寺グッズのガチャガチャ配置―を提案した。
佐藤釉那(ゆうな)さん(3年)は「巡礼体験はとても楽しかった。住職から般若心経の意味を教えてもらったり、とても新鮮な気持ちで精神文化を学ぶことができた。みんなで考えたキャラクターカードを中心に少しでも庄内三十三観音の巡礼に興味をもってもらえればうれしい」と笑顔を見せた。
庄内札所霊場会事務局長を務める金剛樹院(鶴岡市羽黒町手向)の島津玄眞住職(75)は「生徒から庄内の地域資源の活用に向けていろんな企画を提案していただいた。特に35札所のキャラクターカードは楽しい発信ができそう。感謝したい」と語った。
今後、庄内札所零場会と庄内観光コンベンションで生徒の企画提案を具体化する。
【庄内三十三観音巡礼】 出羽三山や鳥海山、金峰山を代表するように庄内は修験の霊場に抱かれた観音信仰が盛んな土地柄として知られる。札所巡礼は約320年前の江戸時代(正徳年間・1711―16年ごろ)に、羽黒山の住職が「西国三十三観音霊場」から砂を持ち帰ったことがきっかけ。庄内に三十三の霊場を定め、それぞれのお堂に砂を納めたのが始まりとされる。三十三観音だが「首番」と「番外」を含めて35の札所がある。