2024年(令和6年) 2月14日(水)付紙面より
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2月半ばというのに、3月から4月を思わせる暖かさが続いている。異常気象のせいだろうが、春は行楽の季節。庄内空港に韓国からの国際チャーター便で約170人の観光客がやって来た。酒田市の山居倉庫や鶴岡市の加茂水族館などを見て回る。今年は大型クルーズ船も寄港する。庄内の風土に触れ、それが地域の活性化につながることを期待したい。
庄内空港の東京(羽田便)は2024年度上期も期間限定で1便増の5往復になる。コロナ禍後の需要が回復しつつあることを裏付ける。観光庁も「物見遊山」から「自然と文化が両立できる観光」に重点を置いている。その意味では人の移動に欠かせない交通網の整備も重要になってくる。
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日本海沿岸東北自動車道(日沿道)の遊佐比子インターチェンジ(IC)―遊佐鳥海IC間延長6・5キロが、3月23日開通する。酒田みなと―遊佐鳥海間12キロの一部で、酒田みなと―遊佐比子間5・5キロは既に開通している。遊佐鳥海―小砂川間、小砂川―象潟間(両区間計17・9キロ)は26年度までに開通見通し。人的交流、物流、観光振興での地域経済の活性化、さらには地域救急医療体制の充実につながる。残すは新潟県境の早期開通だ。
JR羽越本線が7月、全線開通100周年を迎える。観光庁が掲げる、自然と文化が両立できる観光という面では、出羽三山信仰、北前船文化など、他地域に優越する資源がある。温泉と抱き合わせて首都圏からの誘客をPRしたい。羽越新幹線の見通しは立っていないが、在来線でなければ味わえない「ゆっくり旅」もある。そうした旅行を前面に出すのもいいのではないか。
一度に大勢の観光客を運んでくる大型クルーズ船。酒田港には4月から10月にかけ、外国船7回、邦船1回の寄港が予定されている。10月入港予定の「MSCベリッシマ」(17万1598総トン、マルタ船籍)は、乗客定員5568人。町や村の人口をそっくり運んでくる計算になる。庄内をPRする絶好機だ。
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観光は一大産業。観光庁は25年の訪日客を過去最多の19年の3188万人の更新を目指している。クルーズ船は朝寄港し夕方に出港するが、外国人観光客にはリピーターも多い。クルーズ船観光を、地域活性化につなげる好機と捉え、庄内の食と歴史遺産にじっくり触れてもらうことで、「もう一度酒田へ、庄内へ」という印象を心に刻んでもらえるようにしたい。
その受け入れ態勢を整えるため、酒田市は国内外の観光客の受け入れに際し、官民の「酒田交流おもてなし市民会議」を設け、地道な取り組みをしている。自然と文化が両立できる観光という点を、庄内の風土は持ち合わせている。それらが、地元の取り組みで庄内の観光の追い風となることを願いたい。