2024年(令和6年) 2月15日(木)付紙面より
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地域災害対応力向上研修会が13日、酒田市の東北公益文科大学公益ホールで開かれ、防災、医療、福祉関係者らが個別避難計画の重要性などについて理解を深めた。
研修会は庄内総合支庁、庄内2市3町、酒田海上保安部、鶴岡・酒田の両消防本部、鶴岡、酒田、庄内の3警察署で組織した「庄内地域地震・津波等災害対策連絡協議会」(会長・村山朋也県庄内総合支庁長)が、関係機関における迅速かつ的確な応急対策業務に取り組める体制整備と地域の災害対応力向上を目的に開催した。
この日は関係者ら約60人が参加。内閣府の被災者支援のあり方検討会座長、個別避難計画作成モデル事業アドバイザリーボード座長などを務める跡見学園女子大の鍵屋一教授が「個別避難計画のいま」と題して講演した。
鍵屋教授は「人には根拠がないのに自分は大丈夫と思い込んでしまう『正常化の偏見』がある。防災の敵は自分の心の中にあり、人間は黙っていると逃げない動物」と指摘。また、東日本大震災の死者の約6割、震災関連死の約9割が高齢者だったことや、少子高齢化により消防団員や自治体職員が減少しているデータなどを示し「日本社会の最大の問題の一つが人と人とのつながりが弱くなったこと。逃げ遅れる可能性の高い人の避難にフォーカスした対策が必要。それが個別避難計画や地区防災計画で、高齢者や障害者を地域社会につなげていくもの」とした。
災害対策基本法の改正に基づき、災害弱者に対し2025年度までに作成が市町村の努力義務とされている個別避難計画については「必ず助ける計画ではなく、助かる確率を高めるためのもの。分からないところは仮にするなど、できる範囲でいいので、避難する人自身で個別避難計画を作ってほしい。仮の部分は今後の見直しにつながり、それが地域のつながりを高める。そして、避難までのタイムラインを考えてもらえれば。自ら作る姿勢が大事で、自ら作らないものは結局使わない」などと説いた。