2024年(令和6年) 5月21日(火)付紙面より
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「お山王はん」と親しまれている鶴岡市山王町の山王日枝神社(武田紘宮司)で18日、春の例大祭が行われた。「町方」「郷方」と呼ばれる氏子たちが、それぞれのご神体「お鉾様」の宮入りを執り行った。
同神社の例大祭は、戦国武将の最上義光が社殿を造営した1611(慶長16)年、義光自らが当宿を務めて始まったとされる。氏子のうち旧町の七日町、下肴町、八間町、荒町の4地区を「町方」、旧村の大宝寺、文下、茅原、本田、荒井京田、覚岸寺の6地区を「郷方」として、それぞれが回り番で当宿を担っている。
今年の当宿は、町方を吉川義雄さん(80)=七日町、郷方は冨樫武夫さん(79)=大宝寺=がそれぞれ務めた。この日は午後から町方と郷方が一緒にお神酒を頂くなど杯事(さかずきごと)を行う「入合式(いりあいしき)」に続き、参列者が神前で謡を奉納するなど祭事が繰り広げられた。
その後、長さ1・5メートル幅25センチほどの木箱に納められた神の依り代たる「お鉾様」の宮入りが行われ、先に町方が参道を通って本殿へお鉾様を運び込んだ。
続いて行われた郷方の宮入りは、木箱を背負う「御鉾守」を中心に10人ほどが神社境内から山王池付近まで路上をくねった。笛や太鼓、謡が響く中、お鉾様は再び本殿に運び入れられ、例大祭を締めくくった。
郷方当宿の長男として御鉾守を務めた冨樫茂嗣さん(47)は「お鉾様が入った木箱は見た目より軽かったが、昔から続く伝統行事の歴史を感じた。次の世代にしっかり受け継いでいきたい」と話していた。