2024年(令和6年) 7月4日(木)付紙面より
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霊峰・月山(標高1984メートル)の雪解けが早まっている。昨年6月の同じ時期に撮影した写真と比較すると明らかに残雪の面積が小さくなっている。例年7月中旬まで続く天然の「月山筍(だけ)」採りは成長が早まり、すでに先月20日ごろまでで終わった。月山を知る関係者は「これほど雪解けが早いのは記憶にない」と話している。
「もともと雪が降る量が少なくなっているのだろうか」「昔と比べると雪解けの速度がすさまじい」―。出羽三山神社の神職や毎年シーズンになると月山筍を採っている人たちから、こうした声が聞こえるようになった。多くの関係者は標高2000メートル近い月山にも地球温暖化の影響が迫っていると指摘する。
顕著に表れているのが環境省指定要注意外来生物の「セイヨウタンポポ」が月山山頂でも見られるようになったことだ。セイヨウタンポポに限らず、同じ要注意外来生物のオオバコも8合目まで侵入。10年以上前から月山ビジターセンターで一般ボランティアを募り駆除活動を続けている。
ビジターセンターの加藤一之解説員(65)は「月山の雪解けは例年より半月早い。冬期間の降雪量が少なく気温が高くなっているのが原因。そうとしか考えられない。山頂に侵入したセイヨウタンポポに関しては綿毛の種ができる前の駆除を心掛けている。標高2000メートル近い所でも平地と同じように花を咲かせ、あたかも『高山植物化』しているように見える」と危惧する。植物に詳しい関係者の間では早い雪解けによる山の乾燥化を懸念する。
昨年夏の高温少雨で月山も「水不足」となり、山頂の月山神社本宮は9月を待たずに閉めた。山形県自然公園整備保全促進協議会羽黒支部長で佛生池(ぶっしょういけ)小屋(月山9合目・登山客の宿泊、休憩所)を経営する工藤純平さん(47)は「明らかに今年は残雪が少ない。うちの山小屋では昨夏の水不足は何とかしのぐことができたが、今年も不安といえば不安。登山客に迷惑がかからないようにしたい」と話した。