2024年(令和6年) 9月1日(日)付紙面より
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野菜くずなどの生ごみを餌に飼育したミズアブのふんから肥料を作る研究に取り組む山形大農学部と、この肥料を使った作物栽培に協力している庄内農業高は29日、収穫したタマネギ約80キロを鶴岡市学校給食センターに贈った。9月2日と4日に小中学校の給食で、地域内循環型の「SDGs玉ねぎ」としてみそ汁に使って提供される。
山大農学部の佐藤智准教授=応用動物学=の研究室は4年前から、農学部構内で捕まえたアメリカミズアブ(ハエの一種で刺さない)の幼虫に生ごみを餌として与え、排出されたふんを肥料として活用する研究に取り組んでいる。餌は同センターや市立荘内病院、同学部内の野菜くずなどを活用。昨年から肥料として庄内農業高に提供している。
同校は、食料生産科の生徒を中心にミズアブ由来の肥料、化学肥料、無肥料と対照区を設けて野菜の栽培実証を進め、タマネギは昨秋に定植。今年6月下旬に収穫し、乾燥・冷蔵保管していた。ミズアブ由来の肥料を施したタマネギは他の対照区より玉伸びも良く、収穫量も多くなり、大玉のタマネギに成長したという。
贈呈式が同センター玄関前で行われ、生徒たちがコンテナに入れたタマネギを小林尚志所長に手渡した。庄内農業高2年の庄司心優(みひろ)さん(16)は「ミズアブの肥料を使うと玉伸びも良く、食べてもおいしかった」と話した。同様にサトイモやニンニクも栽培しており、今後は食味や栄養価などに関する詳しい成分分析も予定し、収量だけでなく品質面での効果についても実証を重ねていく。