2024年(令和6年) 10月16日(水)付紙面より
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幼少の頃に口ずさんだ数多くの童謡作品を世に送り出して今年3月、92歳で亡くなった峯陽さんが酒田の情景を思いながら作曲した「酒田酒呑(の)み唄」を参加者全員で歌う音楽イベントが12日、酒田市の酒田駅前交流拠点施設「ミライニ」で開かれ、集まった約20人の市民が歌声をそろえた。
このイベントは、1960年代に全国的に流行した歌声喫茶を通し市民相互に交流を深める「酒田うたごえ喫茶」(高橋治代表世話人)の例会で実施。「オバケなんてないさ」「誕生日のうた」など都内で童謡を多く制作した峯さんは30年ほど前、講演のため同市を訪れこの際、市内の保育園に勤務していた齊藤惠さん(76)=同市上餅山=がアテンドした。反省会の席上、峯さんが「手拍子で歌える『呑み唄』を作ろう」と提案。齊藤さんが作詞を担当し、それに峯さんが曲を付けた。
「―呑み唄」は4番まであり、▽鳥海山にたねまきじいさん顔出せば 菜の花 サクラの 春の酒▽庄内浜にイカつり船の灯がゆれりゃ 花火だ 祭りだ 夏の酒▽庄内平野に稲穂が黄金にかがやけば 豊年まんさく 秋の酒▽最上川に白鳥たちが飛んでくりゃ 地吹雪荒れてる 冬の酒―と四季それぞれに酒田の情景を歌っている。
峯さん、齊藤さんのコンビはこの歌のほかにも「鳥海山の歌」「最上川の子守歌」など制作、齊藤さんが主宰し毎年春に市内などで開催している音楽イベント「あったかコンサート」で披露してきた。が、「『呑み唄』はコンサートの趣旨に合わないため、歌うことは長くなかった」(齊藤さん)と笑う。
この日は市民約20人が参加。ギタリストの市原正弘さん(67)=同市末広町=の伴奏で「呑み唄」のほか、「鳥海山の歌」をはじめ童謡、歌謡曲など声高らかに歌い上げた。高橋代表世話人は「晩酌の時に思い出して口ずさんで」と。齊藤さんは「峯さんは『手拍子を打ち元気になろう』と言っていた。歌うことでより多くの人から元気になってほしい」と話した。