2024年(令和6年) 11月22日(金)付紙面より
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循環型農村経済圏(庄内スマート・テロワール構想)の構築を目指すシンポジウムが18日、鶴岡市東原町のグランドエル・サンで開かれた。三重大学副学長で大学院地域イノベーション学研究科教授の松田裕子さんが「サステナブルな食と農の未来へ」と題して講演した。
気候変動で農作物が被害を受けたり穀物や肥料、農業資材の高騰が続く中、地域資源を活用した持続性のある循環型農村社会が注目されている。今回のシンポジウムは山形大学農学部が中心となって取り組む「庄内スマート・テロワールプロジェクト」で開発した加工食品の試食会や有識者の講演を通して「農業の未来」を考えようと山形大学アグリフードシステム先端研究センターと庄内スマート・テロワール構築協議会が企画した。
講演で松田さんはドイツの先進例を挙げながら循環型農村経済圏の重要性について説明した。その中で松田さんは「開発する商品はただ単においしさを追求するだけでなく、農家を守ることと環境を保全すること、そして地域貢献の大切さというものが消費者に伝わるものでなければならない。消費者にとっても地元産品を優先し生産者との関係を深めることが大事」と語った。この後、環境省・地域循環共生圏推進室室長の石川拓哉さんが循環型共生圏に取り組む全国の例を紹介した。
庄内スマート・テロワールプロジェクトで生まれた食材の試食会では「スマテロ納豆汁」「スマテロベーコンとキノコのクリームソース」「スマテロ豚の餃子」など10品が用意され、シンポジウムに参加した生産農家や飲食店の店主、各企業の代表者、山大農学部の学生らが試食を楽しんだ。参加者は「どの料理も食材の特徴を生かし、おいしく仕上げている」「地域で作ったものを地域で消費し循環させる大切さを改めて感じた」と感想を話した。