2024年(令和6年) 11月22日(金)付紙面より
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地方の文化向上に尽くした人に贈る鶴岡市教育委員会が主催する「第67回高山樗牛賞」の授賞式が20日、鶴岡市のグランドエル・サンで行われた。本年度受賞者で演劇脚本を通して地域ゆかりの人物を顕彰し地方文化の啓発向上に貢献している池田肇さん(64)=鶴岡市日出一丁目=と児童生徒対象の高山樗牛奨励賞を受賞した佐々木みらいさん(18)=酒田東高3年=に賞状と記念品が授与された。
樗牛賞の池田さんは遊佐町生まれ。日本劇作家協会会員。櫛引地域生涯学習振興会の事務局長を務める傍ら劇作家、演出家として創作活動を続けている。近年は言語学者の齋藤秀一(ひでかつ)、横綱柏戸など庄内地域ゆかりの人物を題材に脚本を執筆、上演している。
奨励賞の佐々木さんは酒田東高の文芸部副部長。小説「幸せそうなあなた」は、自身の入院体験をもとにしたもので、何気ない会話を通した巧みな人物描写や表現力などが評価された。
式典後の受賞者講話で池田さんは「これまで40本ほどの演劇脚本を書いてきたが、賞とは無縁だった。櫛引で地元の歴史を再発見できないかと活動を始め、やっと形になってきた。演劇はホン(台本)が悪くても役者が良ければ何とかなるもの。役者やスタッフ、演奏家に恵まれているので、受賞できたと思っている」と応援に駆け付けた仲間への感謝を述べながら、「次は遠藤虚籟(きょらい)に取り組んでいる。来月には『柏戸少年紀』の朗読劇も行うので、ぜひ鑑賞を」と呼び掛けていた。
佐々木さんは「検査入院した時に、これまで知らなかった病院生活に触れ、楽しく過ごせたことが創作につながった。作品には両親も登場するが、部誌にはペンネームで書いたので、家族にも教えていなかったがみんな喜んでくれた」と話した。