2024年(令和6年) 11月24日(日)付紙面より
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鶴岡市加茂水族館のレストラン「魚匠ダイニング沖海月」(須田剛史料理長)は、今が産卵期で脂が乗っておいしいボラとカラスミをふんだんに使った「ボラ高級御膳」を提供している。
身も固くおいしくないと思われているため市場にも出回らず、漁師にとっては“厄介者”の存在のボラ。しかしボラの卵巣から作るカラスミはお節料理に欠かせない高級食材で、関西では師走に入るとカラスミを仕込む風習があるという。また、水面に勢いよく飛び跳ね、出世魚で縁起の良い魚でもある。
須田料理長は4年ほど前から、庄内浜でも取れるボラからカラスミを作ろうと、地元漁師の協力で仕込みをし、製品化にこぎつけた。きっかけは2022年の酒井家庄内入部400年の記念になる料理を考案したこと。織田信長から“ごちそう奉行”と名付けられた酒井家初代・忠次公がカラスミを信長に供していた文献が残っていることから、地元で取れるボラで作ったら名物になるのではと試行錯誤を重ねた。昨年は春に、春ボラを使った御膳を発表し、今回が2度目のボラ料理の提供となる。
11月から12月にかけて漁獲が多くなるボラ。庄内で取れたボラと料理長自身が作ったカラスミを材料にすることから手頃な価格で味わえる“高級”な一品。イメージとは違い、柔らかくておいしい白身をお造りにしてカラスミを添えた「ボラと唐墨の親子造り」をはじめ、なめろう、南蛮漬け、茶わん蒸し、握りずし、カラスミをすりおろして上に載せたご飯やそば、ボラのアラ汁などに松ケ岡産の柿をトッピングしたソフトクリームがデザートに付いて2000円(税込み)という破格値で提供する。
須田料理長は「今年のボラは魚体も大きく、魚卵もたっぷり入っている。地元で取れ、地元の料理人が作ったことで味わえる限定料理を楽しんでほしい」と話している。
提供は12月いっぱいを予定している。1日5食限定。予約も受け付けている。申し込み・問い合わせは沖海月=電0235(64)8356=へ。