2024年(令和6年) 12月19日(木)付紙面より
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鶴岡市藤島地域に伝わる伝統工芸「わら細工」で、来年の干支(えと)である「巳(み)」の置き物を作る「藁(わら)で干支を作ろう」が14日、同市の東田川文化記念館(遠田良弘館長)で開かれ、参加者たちが「JA庄内たがわ藁工芸部会」(富樫秀幸会長)のメンバーから作り方を教わりながら、わらを手でねじる「縄ない」などに挑戦した。
稲作が盛んだった旧藤島町では、米作りの傍ら、さまざまな生活用品や道具のほか、神事で使うしめ縄や冠婚葬祭の祝い飾り、民芸品などをわらで作る「わら細工」が受け継がれている。わら文化を継承しようと1985年にJA庄内たがわ藤島支所内に組合員を中心とした「藁細工研究会」が発足。現在は工芸部会と改称し、地域の秋祭りでのイベントや体験会活動に取り組んでいる。
「―干支を作ろう」は地域住民や子どもたちにわら細工文化に触れ、理解を深めてもらおうと同記念館が2019年から毎年開いている。この日は市内外から小学生―70代の約15人が参加した。
わら細工に適している8月に刈り取った約1メートルのササニシキの青刈りわらを使い、ヘビの頭部分を丸みが出るよう五つ編みで編み込んだ後、胴体をしめ縄と同じになるよう左巻きでわらをねじり、首の部分に針金を巻き入れ好きなポーズにしたら、舌と目を取り付けて完成。参加者たちは複雑な編み込みや慣れない縄ないに四苦八苦しながらも、約2時間にわたってわら細工作りに取り組んだ。
三川町から親子で参加した清水香菜子さん(10)と杜萌さん(8)姉妹は、とぐろを巻いた様子と体をくねらせ前進する様子をそれぞれ表現。「ヘビはシンプルで簡単と思ったが、やってみたらとても難しかった。先生がお手本でねじるとあっという間に縄ができるのがすごかった。仏壇の部屋や玄関に大切に飾りたい」と。富樫会長は「子どもたちがわら細工に触れることで、伝統を感じてもらえたら」と話していた。