2024年(令和6年) 12月20日(金)付紙面より
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県水産研究所(鶴岡市加茂)が、その活用を進めている未利用魚のワニエソから作った焼き干しを使ったラーメンの試食会が17日、鶴岡市羽黒町黒瀬のラーメン店「中華そば 琴(こん)の」で行われた。
同研究所ではこれまであまり利用されてこなかった魚種の利活用の検討を進めている。だしの価格が上がり困っているラーメン店のために洋上廃棄されているワニエソをだしにできないかとの依頼を受け、今春から試作を進めてきた。
今月10日、同研究所を会場に、由良や温海、吹浦などの漁業者やラーメン店、旅館、飲食店、加工業者、県漁協、県庄内総合支庁などから関係者が集まり、完成した焼き干しだしなどの飲み比べを行い、ワニエソのだしはうま味や甘みが強い特徴があることなどが示された。
この日のラーメン試食会は「琴の」店主の今野直樹さんが、同研究所が試作したワニエソの焼き干しと、普段同店で使っているカタクチイワシの煮干しが半々のスープを作り、塩よりも合っていたしょうゆラーメンに仕立てて提供した。前回も参加した関係者を中心に21人が参加し、人気店の“新作”を味わった。
参加者からは「あっさりした味かと思っていたが、意外に濃厚で引き付けられる」「スープが飲み切れるおいしさ」と好評。はえ縄の漁師からも「あの憎らしいエソがおいしくなってびっくりした」「高級魚がなかなか取れない中、だしとして使ってもらえるなら未利用魚にも目を向けていくべきと思った」などと話していた。
今野さんは「ワニエソをだしで使うのは“あり”だと思う。焼き干しは砕いたほうがだしが出るので、身が崩れても問題はない。ワニエソ節にしてもおいしいかも」と話していた。さらに、同研究所が試作したゲンゲ類の魚醤(ぎょしょう)を使っても、また違った風味のラーメンになると話し、仲間のラーメン店主からも「庄内で取れた魚を活用できるのはおもしろい取り組み。これから進化していくだろう」と期待を寄せていた。