2024年(令和6年) 12月22日(日)付紙面より
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鶴岡発の新規事業構想を生み出す起業家を群として育成する「鶴岡イノベーションプログラム」の事業構想発表会が20日、鶴岡市の荘銀本店ホールで行われた。フリーランス(組織や団体に所属しない働き方)同士が情報交換できる新しい形のスナック運営や、空き家整理で発生する不要品から建築建材、古道具を生み出す事業など、今年7月から10回にわたる講座を受けてきた2期生24人が、チームで練り上げてきたビジネスプランを紹介した。
個人事業主や大工、農業者、カフェ経営者などによる5チームがそれぞれのプランを発表。現役の大工や設計士、機械職人などが講師となり、DIY(自身の手による修繕)のスキルアップができるジムを運営し、人口減少に伴い増加する空き家をDIYを学ぶ人たちの“教材”に変え、将来的には町の再生につなげる構想や、日向川に生息するアユを次世代へ引き継ぐため地酒を使ったアユの骨酒と鳥海山の山小屋、地元の土で作ったぐい飲みを組み合わせ、希少な体験を提供するアイデアなどが紹介された。
「鶴岡イノベーションプログラム」は鶴岡市や地元の金融機関、商工団体などで組織した実行委員会(委員長・松田正彦荘内銀行頭取)が主催。野村総合研究所の協力で2022年12月にスタートした。5チームの事業構想発表の総括として、野村総研の此本臣吾会長兼社長が「いずれのグループも練りに練って作り上げてきたことが感じられる深みのある話で、完成度の高いプレゼンテーションだった」と講評。「地方の人口減少は2030年代半ばから加速すると見込まれる。新しい事業を生み出し地域に活性をもたらすことで、残された10年の間に人口減少へ対応する準備ができると思う」と述べた。
発表会には行政や金融機関、不動産業者などの関係者約120人が参加。発表後、各チームとの名刺交換も行われた。