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2024年(令和6年) 7月3日(水)付紙面より

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鶴岡から宇宙へ 成功喜び合う ロケットと衛星に部品提供 OKIサーキットテクノロジー 「H3」「だいち4号」打ち上げ見守る

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は1日、国産の新型主力ロケット「H3」3号機を打ち上げ、計画通り国の地球観測衛星「だいち4号」(重さ約3トン)を軌道に投入することに成功した。H3による大型衛星の打ち上げ成功は初めて。このロケットと衛星に部品の「プリント配線板」を提供した鶴岡市宝田一丁目のOKIサーキットテクノロジー(鈴木正也社長)では、インターネット中継を見守った社員に歓喜が広がった。

 JAXAと三菱重工業が共同開発したH3(全長57メートル、直径5・2メートル、重さ422トン)は1日午後0時6分、種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げられ、約17分後に搭載した「だいち4号」を高度約613キロで切り離し、予定の軌道に投入した。

 昨年3月の初号機は打ち上げに失敗し、今年2月の2号機と今回で2機連続の成功となり、実運用の段階に入った。3号機の打ち上げは当初、先月30日に予定されていたが、現地の天候の影響で1日に延期されていた。

 各種電子機器の基盤となる配線回路「プリント配線板」の設計・製造を手掛けるOKIサーキットテクノロジーは、プリント配線板に関するJAXAの全7分野の基準を満たして認定を受け、これまでにロケットや衛星に製品を供給。H3には全体の9割に相当する名刺サイズからA4判サイズまで100種、計200枚のプリント配線板が搭載されたほか、だいち4号にも使用されている。

 3号機の打ち上げは、社員約40人が社内のカフェテリアに集まり、JAXAによる中継映像を見守った。打ち上げの瞬間、機体がゆっくりと上空に向かうと、「おおー」と歓声が上がり、2段目エンジンの点火と、衛星の軌道投入の際には大きな拍手が湧き起こり、成功を喜び合った。

 同社は「鶴岡から宇宙へ」を合言葉に、宇宙開発関連の高品質、高耐久性のプリント配線板の開発・製造に力を入れている。3号機の打ち上げと衛星の軌道投入の成功を見守った同社鶴岡事業所の豊原康夫技術本部長(51)は「これまでやってきたことに間違いはなかったということを実感した。さらに良い製品づくりへ向上心も湧いてくる。努力と苦労は報われるということを若い社員にも伝えたい」と話した。

中継映像を見守り、打ち上げと衛星軌道投入の成功を喜ぶOKIサーキットテクノロジーの社員たち
中継映像を見守り、打ち上げと衛星軌道投入の成功を喜ぶOKIサーキットテクノロジーの社員たち

だいち4号を搭載し打ち上げられたH3ロケット3号機=©JAXA
だいち4号を搭載し打ち上げられたH3ロケット3号機=©JAXA


2024年(令和6年) 7月3日(水)付紙面より

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フレンチ技術と料理人の心得 酒田調理師専門学校 河野シェフ招き特別授業

 酒田市の酒田調理師専門学校(御舩明彦校長)で1日、レストラン「モナリザ」河野透オーナーシェフを講師に招いた特別授業が行われ、生徒たちが本格的なフレンチ技術などを学んだ。

 河野シェフは1957年、宮崎県生まれ。25歳で渡仏し、「ジョルジュ・ブラン」など有名レストランで腕を磨いた。フランス料理界カリスマシェフのジョエル・ロブション氏に師事し、愛弟子として従事。90年に帰国後、都内のレストランでシェフを務め、93年に恵比須でオープンした「タイユバン・ロブション」初代日本人シェフに就任。97年に独立し、現在はレストラン「モナリザ」恵比寿本店、丸の内店オーナーシェフ。今回は河野シェフがフランス料理を通して日仏をつなぎ、フレンチの普及と技術伝承、若手料理人育成などを目的とする料理人団体「クラブ・デュ・タスキドール」の理事を務める縁などから実現した。

 この日は高度調理技術科、調理科の生徒計26人が参加。河野シェフが「真鯛のエピス風ポワレ」「ナスと地魚のカネロニ」の2品の調理を実演。「ナスはすぐ色が変わり、油を非常に吸う野菜。色を生かしながら油っぽくならないように注意」「料理人は鼻が大事。料理の一番いい状態の匂いを記憶しておくこと」などとポイントを紹介しながら調理を進め、生徒たちは熱心に質問するなど真剣に取り組んでいた。

 参加した調理科の徳田陸人さん(20)は「レベルが違うのは分かっているけれど、段取りなど手際がよく、とても参考になった」、河野シェフは「若い料理人には『初心忘れるべからず』『塵も積もれば山となる』『鉄は熱いうちに打て』の3つを伝えている。挫折することもあるだろうが、せっかく選んだ料理の道なので諦めずに進んでほしい。料理を教えることももちろんだが、夢も伝えていきたい」とそれぞれ話していた。

調理のポイントなど実演する河野シェフ(右)
調理のポイントなど実演する河野シェフ(右)


2024年(令和6年) 7月3日(水)付紙面より

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「継続は力」を続ける事の大切さ

 「継続は力」はよく耳にする言葉だ。努力を積み重ね、物事をやり続けることが成功につながるとの意味合いだ。個人の意思の強さにも通じるが、こちらの「継続は力」は、個人ではなく地域や、大自然に向かっての取り組み。鶴岡市立羽黒小学校の5年生が、このほど地域の田代谷地の山中にブナの苗木を植えた。今年で25年になる活動で、植えたブナは1000本余になった。

 ブナの植林は環境教育の一環。同市の「水土里ネット笹川」(笹川土地改良区)と協力した活動。活動の狙いは「山と川と海の環境を守る」。原点にあるのが山の自然を豊かにすること。そのためには山の緑、とりわけ「緑のダム」と呼ばれるブナを育てることにある。

◇  ◇

 ブナの苗を植えて25年。息の長い活動であり、先輩から後輩へと受け継がれる学校の伝統になった。ブナ林は保水力が高く、落葉による腐葉土で作られる栄養素が川から海へと流れ込むことで、海の生き物が育つ。長く受け継がれてきた学校行事が、山と川と海の環境を守っていることを、児童は植樹することで体感する。環境保護活動の原点だ。

 月山山系での自然保護活動の歴史は1970年にさかのぼる。「出羽三山の自然を守る会」発会の呼び掛けに「数年来のレジャーブームを放置すれば、近い将来取り返しのつかない事態になる。長い歴史の中で培われてきた豊富な動植物、他に例を見ない特異な地質もある。有形無形の調和を図らなければならない」などとある。山形県による、月山8合目弥陀ケ原から西川町志津に至る道路建設の測量が始まったことの危機感からの守る会設立だった。

 酒田市の自然写真家、斎藤政広さんが先頃、自らの写真と文で自然の素晴らしさを訴える写真集「ブナの声Vol・32 ブナに抱かれし山々」を出版した。横浜市出身の斎藤さんは84年に酒田市に移り住んで以来、庄内地域の自然、特にブナをテーマに撮ることをライフワークにしてきた。斎藤さんの作品に人々が引き寄せられるのは、作品に「自然の大切さとは」が込められているからであろう。

◇  ◇

 羽黒小の活動は25年、出羽三山の自然を守る会は発足54年、庄内の自然に魅せられた斎藤さんの活動も40年。人生に例えれば四半世紀から半生をかけての取り組みになる。活動の芯を貫くのは、自然は自然の姿であるべきだということではないだろうか。

 壊れた自然は取り戻せない。自然保護思想は平安時代ごろからあったとされるが、自然を守るための住民運動が起こった歴史は新しいという。「森は海の恋人」で、森があって海の生き物が育ち、人はその恩恵を受けている。羽黒小の児童たちが植えたブナの苗木がすくすくと育つこと、環境保護の輪が大きく広がることを願いたい。

画像(JPEG)


2024年(令和6年) 7月3日(水)付紙面より

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もっと日本料理学びたい!! ハワイの学生 沖海月へ 須田料理長と“再会”

 料理に興味を持つハワイ大学の学生が29日、鶴岡市立加茂水族館・魚匠ダイニング沖海月(須田剛史料理長)を訪れ、鮮魚のさばき方を学んだ。

 訪問したのは、ともに2年生で男子学生のエイドリアン・ステナルドさん(20)と女子学生のヴィクトリア・ゼングさん(20)。今年4月、須田料理長(48)がハワイに招かれた際、地元の学生や料理人を対象にした料理講習会で知り合い「もっと日本料理の『奥』の部分を学習したい」と自費で来日した。

 2人は須田料理長と約2カ月ぶりに「再会」。鮮魚を使った刺し身や焼き物、揚げ物、すし、お吸い物といった料理の作り方を学び会食した。

 ヴィクトリアさんは「アメリカでは日本料理のように魚を繊細に扱わない。茶わん蒸しなどに使う『出汁(だし)』にも興味がある」と話した。「フグの競技大会に出たい」というヴィクトリアさんの希望に沿って須田料理長がフグのさばき方を教えた。

 2人は出羽三山神社の斎館で精進料理を味わったほか、酒田で料亭文化を伝える酒田舞娘(まいこ)の演舞を鑑賞した。ハワイには今月5日に戻る。

須田料理長(左)に質問するヴィクトリアさん、右端はエイドリアンさん
須田料理長(左)に質問するヴィクトリアさん、右端はエイドリアンさん



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