2025年(令和7年) 1月16日(木)付紙面より
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協和丸(鶴岡市加茂、長谷川清雄代表取締役社長)と湯野浜100年(同市湯野浜、五十嵐浩代表取締役)は、庄内沖で取れるベニズワイガニのブランド化を目指す。ブランド名は「天喜紅蟹(てんぎのべにかに)」―。日本の夕陽百選に選ばれている湯野浜海岸に沈む夕日とベニズワイガニの色(紅)を掛け合わせて名付けた。湯野浜温泉の旅館・ホテル計14施設の料理長が、それぞれベニズワイガニを使ったオリジナル料理を考案し、県内外から訪れる行楽客に提供。「湯野浜」をアピールする。
ベニズワイガニのかご漁は山形県内では唯一、協和丸(111トン)が操業している。漁期は例年4月から1月まで。庄内沖約40~75キロの海底にかごを仕掛け、3日後に再びポイントに向かって漁獲する。2月と3月は禁漁期間。小さいサイズのカニはかごに掛からないため資源保護につながるという。
味は甘みがあっておいしい。価格は1匹400円から5500円。加茂港に水揚げされたカニはすぐゆでて近くの湯野浜温泉に直送。輸送コストがかからず新鮮なカニを提供できるのが強みだ。
ブランド化は県内では1隻しかないベニズワイガニ漁(カニかご漁)の協和丸に着目。特産にして全国に発信しようと湯野浜100年が長谷川社長に相談を持ち掛け準備を進めてきた。
関係者を招待した「新ブランド発表会」が13日、KAMEYA HOTELで開かれ担当者がブランド化を目指すいきさつについて説明。参加者にベニズワイガニを使ったコロッケや和風グラタン、炊き込みご飯、お吸い物、茶わん蒸しといったカニ尽くしの料理を提供した。
大阪を拠点にする旅行会社の参加者は「とてもおいしい。特に関西圏はカニツアーが人気。価格的に本ズワイガニより手頃で、十分、人を呼べる魅力はある」と感想を話した。
協和丸の長谷川社長は「ベニズワイガニは資源的に安定している。品質のいい新鮮なカニを湯野浜温泉に納品できるよう努力したい。私自身、地域振興に向けて、やりがいというものが倍増してきた」と話した。
湯野浜100年の五十嵐社長は「協和丸さんとタッグを組み、地域の素晴らしい資源を全国に伝えたい。湯野浜でしか食べられない希少価値を打ち出しながら交流人口の拡大にもつなげたい」と語った。
ブランド化はカニかご漁が再開する4月に本格化する。当面、県内外の旅行会社に売り込む。各温泉旅館では料理長がベニズワイガニの特性を生かした料理を考え、お客さんを迎える体制を整える。