2025年(令和7年) 1月24日(金)付紙面より
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「幕見」と称して毎年1月16日に酒田市内の黒塀や仮設の小屋などに張られた絵幕「塞道(さいどう)の幕」を広く紹介する企画展が、市文化資料館光丘文庫で開かれ、合戦などをモチーフにした絵幕とともに、道祖神を展示、市民らが酒田の小正月行事の一端に触れている。
塞道の幕は大きな布に歴史上の合戦や説話などの絵を染め抜いたり描いたもの。小正月に展示し、周囲には多くの露店が出て見物客らでにぎわったという。1950年代後半に廃れ、さらに同市中心部の各自治会が所蔵していた絵幕は、76年に発生した酒田大火で焼失。現存するものの多くは市の有形民俗文化財に指定されている。
塞道絵幕「四十七士吉良邸討ち入り」(縦2・2メートル、横9・7メートル)は、1702年の赤穂浪士による討ち入りの様子を描いたもので力強いタッチが印象的。また、疫病や悪霊が村に入るのを防ぐ神として村境や峠に祭られていたとされる実小路の道祖神、宮野浦の小正月行事に使われていたわらと竹に着物を着せて作ったホンテ人形が並び、来館者たちは歴史の一場面やおとぎ話が描かれた巨大な幕絵を眺め、往時の酒田に思いをはせていた。展示は来月2日(日)まで。