2025年(令和7年) 4月4日(金)付紙面より
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鶴岡市湯田川のJA鶴岡湯田川催芽場で1日、温泉の湯に種もみを浸して発芽を促す伝統の「芽出し作業」が本格的に始まった。連日、早朝から作業員たちが種もみの詰まった袋をお湯が満たされた水槽へ浸す作業を行っている。
温泉を活用した芽出し作業は1848(嘉永元)年、地元農家が農業にも温泉を生かそうと始めたのが起源とされる。種もみの袋を33度前後の湯に12時間浸した後、水槽の上に渡した木板の上に並べてむしろで覆い、さらに12時間蒸す。専用機器や自宅の浴槽を使う芽出し作業に比べて低コストで農家の負担が少なく、発芽が均等になるという。
今年は庄内一円の農家から計666件の依頼があり、「はえぬき」や「つや姫」「雪若丸」を中心に約238トンが運び込まれる予定。作業は1日に始まり、連日作業員たちが午前5時から袋を水槽に浸けたり、農家が届けた種もみを運んだりしている。一連の工程は早朝と午前、午後の3回行われ、最も多い日は約26トン分を取り扱う。
2日午後は5人の作業員が芽出し作業に従事。手分けしながら種もみの詰まった袋を丁寧にお湯の中へ浸していた。作業が最盛期を迎える8、9日ごろにはJA職員も加わり15人ほどが作業に当たる。
JA鶴岡の担当職員は「今年は暑くなったり寒くなったり天候が安定していないが、お湯で温まったちょうど良い状態の種もみを農家の皆さんへ引き渡せそうだ」と話していた。
湯田川催芽場での芽出し作業は今月25日ごろまで行われる予定。