2025年(令和7年) 4月6日(日)付紙面より
ツイート
遊佐町直世の樽川集落で4日夕、集落内から災厄や疫病を払う伝統行事「やっさら人形」が行われ、神に見立てた手作りのわら人形「やっさら人形」を住民が集落を流れる洗沢川に投げ入れた。
やっさらは「厄攫(やくさらい)」が語源とされる。隣接する中山集落にも伝えられているが、人形を川に投げ入れない。いずれも400年ほど続く行事という。上部にツバキやサザンカなど赤い花を取り付けた全長30センチほどのやっさら人形は、災厄や疫病を神として祭り上げたもの。人形を川に流すことで、集落内から災厄を追い出すという。
以前は子どもたちによる行事だったが、少子化の影響もあり現在は集落総出で伝承。「流しびな」の原形とされ、毎年4月4日の夕方に行われている。
この日は午後5時半ごろから三々五々、長さ1・5メートルほどの竹の棒に差したやっさら人形を手にした住民が集落南端に集合。その後、太鼓と鐘の音に合わせ、集落民5人が「やっさら人形 おっぐんぜ どこまでおっぐんぜ 佐渡島(さどしま)までおっぐんぜ」と唱えながら河川敷まで歩を進めた。
辺りが暗くなった午後6時過ぎ、竹の棒を取り外したやっさら人形を川面目掛け一斉に投げ入れると、流れに乗って下流へ。住民たちは静かに手に合わせて無病息災などを祈っていた。