2025年(令和7年) 4月8日(火)付紙面より
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鶴岡市立加茂水族館魚匠ダイニング沖海月は、鶴岡が発祥の学校給食を現代風にアレンジした「春の至福御膳」(税込み1800円)の提供を始めた。
学校給食は1889(明治22)年、鶴岡市家中新町の大督寺に設立した「私立忠愛小学校」で子どもたちに昼食として提供されたのが発祥とされる。貧しさで多くの生徒が弁当を持参することができず、宗派を超えた僧侶が托鉢(たくはつ)で集めた浄財と食材で子どもたちにお昼ご飯を食べさせた。大督寺では昭和20年まで給食を支援し続けたと伝えられる。
「春の至福御膳」は全国から訪れる人たちに学校給食の発祥地・鶴岡の歴史を伝えようと沖海月の須田剛史料理長(50)が大督寺の齋藤浩明住職(39)と連携して考案した。内容は当時の献立だった塩おにぎりと塩鮭のほかに鯉の湯引きや孟宗汁、桜の葉で包んだタイの握りずし、朝日地域産・赤こごめの和え物など10品で構成した。
御膳を提供する前に沖海月で行われた試食会で齋藤住職は「品数が多くて見ただけでも楽しめる。とても上品な味でおいしくいただけた」と感想を話した。
須田料理長は「ばんけ(フキノトウ)の酢みそをアクセントにして食べる鯉の湯引きは春を表現した一品。お膳を通して、貧しい子どもたちの『食』と『教育』を支え続けた鶴岡の歴史的な背景も感じてもらえればうれしい」と語った。
「春の至福御膳」は5月いっぱいまで。問い合わせは沖海月=電0235(64)8356=へ。