2025年(令和7年) 4月15日(火)付紙面より
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鶴岡市三瀬に鎮座する氣比(きひ)神社(石塚直士宮司)の例祭が13日、地区内で行われた。庄内に春の訪れを告げる祭りで1000年以上の歴史を持つ。若者が普段神社に奉納している重さ約300キロの神輿(みこし)を担いで走り飛ぶ「跳ね神輿」を披露した。
最大の見せ場は地区のメインストリートで行われる珍しい跳ね神輿。午後2時半過ぎに地元の若者10人が三瀬保育園児の「榊(さかき)神輿」とともにコミセンを出発。勇壮に跳ね巡り家内安全や身体堅固、家運長久を祈願した。
沿道には住民らが集まり「跳ね神輿を見ているだけで元気が湧いてくる」「春が来たことを実感するね」と伝統の例祭を見守った。
氣比神社の例祭は、平安時代の終わりごろ敦賀にある氣比神社の分霊を祭ったものといわれる。農業と武の神様で庄内藩主の尊崇があつい。現在の本殿は1707(宝永4)年に酒井家が寄進した。過去に戦死した氏子が一人もなく、太平洋戦時中は「武運」を祈る参拝者でにぎわったという。「跳ね神輿」の由来は分からないが、住民は「年に1度氣比神社の神様を担いで走り飛び三瀬の繁栄を願ったのではないだろうか」と推測する。
今年の例祭を担当した三瀬第四地区祭典実行委員会の石塚篤委員長(68)は「まず無事に終えることができて良かった。地方の人口減少が進む中で、歴史と伝統のある祭りは末永く続けたい」と語った。