2025年(令和7年) 4月15日(火)付紙面より
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酒田市が国指定史跡「山居倉庫」(同市山居町一丁目)12号棟に整備を進めていた「山居倉庫インフォメーションセンター」が14日、開館した。山居倉庫の歴史や建物について解説したパネルや当時倉庫で使われていた証券や包装印などが展示され、山居倉庫の現在までの足跡を紹介している。
2021年3月に国指定史跡となった山居倉庫は1893年、取引所法で定める付属倉庫として7棟を建設したのが起こり。土蔵と屋根の間に空気を通し換気を促す二重構造の屋根、強い西日や強風を避けるためのケヤキ並木など温度を一定に保つ工夫がされている。白い漆喰(しっくい)壁と黒い屋根瓦、90年代に植栽されたケヤキ並木は酒田を代表する景観にもなっている。
史跡指定を受けて市は保存活用計画を策定。同計画に基づき整備基本計画をまとめるため、23年7月に有識者12人で構成する整備基本計画策定委員会を立ち上げた。同委員会の議論を受け、これまで12号棟は市観光物産館「酒田夢の倶楽(くら)」として活用してきたが、先月にオープンした商業施設「いろは蔵パーク」に移転したことから、移転後インフォメーションセンターの整備を進めてきた。
市によると、22年の庄内米歴史資料館閉館後、観光客への山居倉庫の案内は、市観光ガイド協会が担ってきたが、不在の場合もあり、観光客から山居倉庫の歴史や役割などを分かりやすく知ることができる展示物の設置を希望する声が寄せられていたという。
インフォメーションセンターは12号棟内の約50平方メートルをリニューアル。山居倉庫が担った米流通の歴史や、建築年代ごとに柱の形状や屋根の組み上げ方など建築方法の違いを26枚のパネルで紹介。主要パネルの解説は英語と中国語にも対応した。
また、倉庫に米を預けた際に発行された「米券」や「倉荷証券」、品質検査の際に使用した「米見盆」など当時実際に使用された品々も展示されている。
インフォメーションセンターには、市観光ガイド協会会員が土日を中心に年間150日程度ガイド業務を行う。また、施設管理人2人が常駐し、解説や質問対応を行うという。
市文化政策課は「山居倉庫の歴史が分かるパネルでは、米の流通だけでなく、倉庫の建築方法などについても解説した。整備基本計画策定委員会の議論を踏まえながら、4―5年後に本来のガイダンス施設を整備していきたい」と話していた。
インフォメーションセンターは入場無料。開館時間は午前9時から午後4時半まで。休館は12月29―1月3日。12号棟内のトイレはこれまで通り利用できる。