2021年(令和3年) 2月26日(金)付紙面より
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県は24日、開会中の県議会2月定例会に提出した若松正俊副知事を再任する人事案を急きょ撤回した。県議会の過半数を占める最大会派の自民党が再任に反対の姿勢を示し、同意されない見込みとなったため。若松副知事の任期が終わる3月10日までに議会の同意が得られなければ、副知事空席という県政史上異例の事態となり、吉村美栄子知事が今後、同じ人事案を再提出するかどうかが焦点となる。
人事案が採決される予定だった24日、本会議を前に各会派が断続的に議員総会や会派間協議を行い、調整が進められた。夕方近くに開かれた本会議で、県当局が追加日程として人事案の撤回を提出。江袋一宏議会事務局長が「副知事の選任について、諸般の事情を考慮し撤回する」と理由を読み上げ、了承された。
本会議後、吉村知事は「コロナ禍という大変な状況の中、現在の体制を維持したいという人事案を提出したが、なかなか思うようにいかないことが分かり撤回した。県議の皆さんに理解してもらえるよう、どう説明するか再考したい」と述べた。2月定例会中の再提出については「(若松副知事は)コロナ対応をはじめ県の各政策に関わっており、余人に代えがたい方。県民のためには現体制を維持したい。そのために何ができるのか検討したい」と話し、若松副知事の続投を探る構えも見せた。
若松副知事続投の人事案に対し県議会(定数43)で26人を占める自民党会派は、19日の議員総会で全員一致で否決の方針を決定。この決定に自民のベテラン議員は「1期、2期目の若手議員の意見が流れを作り、会派がまとまった」と話した。1期目の梶原宗明議員(酒田市・飽海郡区)は、先の知事選後の東北公益文科大の公立化やフラワー長井線などへの県の対応を挙げ、「県政と市町村との連携不足が明らかになったが、その原因が究明されないままだ。市町村との仲介役を担う事務方トップの若松副知事にも問題がある。1期目の議員5人とも同じ考えだった」と明かした。
24日の本会議終了後、自民党県議団の森田廣会長(酒田市・飽海郡区)は、若松副知事の続投に反対する理由として「県内35市町村の首長とコミュニケーションが十分に取れていない。一部で『高圧的な態度を受けた』という話もあり、意思の疎通を欠いていたのではないか。知事選前に一部の首長や団体に対し圧力と取られかねないような行動についても訴えがあった」と述べた。さらに「これまで吉村知事は任期ごとに副知事を交代している。今回も人心一新して適任者を選ぶべきではないか。県庁内は人材が豊富なので、しかるべき人が(副知事として)出てきても良いと思う」と話した。
副知事の人事案について県当局は今後も現体制の維持を各会派に訴える方針だが、自民側は「同じ人事案が出てくれば今回の繰り返し。到底受け入れられない」と強固な姿勢を見せている。水面下では県当局から自民側に「副知事二人体制」の打診もあったというが、「二人体制でも若松氏の名前が入っていれば賛成できない」(自民県議)と、会派内で“若松アレルギー”が強いことを示した。現体制を維持したい県当局と、人心一新を求める自民の間で“着地点”が見つかるか不透明だ。
吉村知事を支える会派・県政クラブの石黒覚県議(酒田市・飽海郡区)は「コロナや災害の対応に不眠不休で頑張ってきた副知事を認めない姿勢はどうかと思う。ようやくコロナワクチン接種が始まろうとしている時に、県の事務方トップが不在になれば県政は停滞する。県民の命、健康と比較してどちらが大事と思っているのか。県議が最も大事にするべき県民益を本当に考えているのか疑問に思う」と語った。
2021年(令和3年) 2月26日(金)付紙面より
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酒田特別支援学校聴覚障害教育部の生徒のために、酒田光陵高校電子機械科の3年生たちが「タブレット端末収納庫」を製作。酒田特支で24日、贈呈式が行われた。
両校は隣接していた旧酒田聾学校(現・酒田特支)と旧酒田工業高(現・光陵高)時代の1998年から交流を続けている。例年、光陵高生が「卒業記念手形」を製作し贈呈していたが、今年は酒田特支の卒業生がいないことから収納庫を製作した。
光陵高電子機械科3年生の製作班7人が授業で学んだ技術を生かし課題研究として取り組んだ。収納庫はタブレット端末8台を充電しながら収納でき、冷却ファンも備えた。
この日は指導教諭と生徒2人が酒田特支を訪問。草間智弘酒田特支校長が「今年はコロナ禍で交流ができず残念だった。収納庫の製作に感謝」とあいさつ。酒田特支2年の生徒会新会長眞嶌幸祈さん(17)は「自分が想像していたケースとは全然違ったが、出来上がりにびっくり。大切に使いたい」とお礼を述べ、製作班を代表し松島優雅さん(18)は「喜んでもらえてうれしい。人のために何かをする気持ち良さを感じた」と笑顔で話した。